公明党 中野区議会議員 小林ぜんいち 確かな政策!抜群の実現力!

議会発言

令和2年第2回定例会 一般質問〈質問の詳細〉

1.中野区の財政運営について。
 初めに、補正予算と予備費についてお伺いいたします。コロナ禍で、議会ではこれまで国や都の給付金や交付金、補助金に関わり、区の支援策を講じた補正予算を全会一致で採択してきました。こうした中で、区は4月、5月に緊急対策事業に多額の予備費を充当しています。緊急性の観点から予備費を充当すること自体に異論を唱えるものではありません。しかし、補正予算は通常定例会中に予算として審議されるものであり、一方の予備費は、災害や衆議院選挙など、当初予算として事前に想定できない事業へあてがうべき予算と考えます。区は、緊急対策を行う財政運営において補正予算と予備費の執行をどのように考え決めているのでしょうか。
 COVID-19、新型コロナウイルス感染症対策の一部を予備費から執行しましたが、事前に内容と予算を議会で審議する時間があったものもあると思います。また、予備費充当に当たっては、中身の見える化を図り、議会への報告を詳細に行うべきではないでしょうか、伺います。
 区は4月末、マイナンバーカードの申請や給付金申請を前に来庁者が急増したことにより、5月に入り庁舎玄関2か所にサーモグラフィーを設置しました。これは23区の中、他の区には実績のない事業で、中野区の他の区有施設には設置していません。機材の購入は5月1日の第2次補正予算の成立後でもよく、なぜ急ぎ予備費を執行したのでしょうか。また、今月から監視と管理を民間に委託する必要があったのでしょうか、併せて伺います。
 東京都は、新型コロナウイルス感染症への追加対策として区立学校等へサーモグラフィーの導入を検討しています。不特定多数の人が集まるその他の高齢者施設をはじめとする区有施設にも導入してはいかがでしょうか、伺います。
 2番目に、今後の予算執行について伺います。SDGsの一番大事な視点は「誰一人取り残されることのない」とバックキャストの考え方だと思います。コロナ禍にあって目先の事業執行に目を奪われがちですが、10年後に目指す姿をさらに明確に示し、長期的な財政運営の上で力強い采配が求められると考えます。令和2年度当初予算の概要で、4年後の令和6年には起債残高は約726億円に達し、基金はマイナス73億円になると示されました。700億を超える起債残高、借金が区政運営に大きな負担となります。世代間の負担の不公平化とならないよう、財政規律の遵守や経常経費化する事業の精査のほか、公債費負担比率を10%以下に抑えるということだけでなく、起債の抑制とその比率抑制もすべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
 これまで区が行った補正予算や予備費充当の事業はほとんどが国の政策であり、区民への区独自の支援はないに等しいものです。抜け落ちた部分をカバーするのが基礎自治体の役目ではないでしょうか。事業の業種によっては、国や都の新型コロナ支援策、給付金等の枠に入らない方も多くいます。
 先日、長年区内で行ってきた事業を閉じなければならない方の御相談を受けました。例えば、身体機能維持のためになくてはならないリハビリ施設、整骨院、鍼灸マッサージといった事業者は、身体機能の維持を目的とした施設として給付金枠の対象に入っていない業種です。区は、新しい生活様式のもとで3密を防ぎながら、私たちの身体や日常生活機能を支える事業者に対し区独自の支援を行ってはいかがでしょうか。区民の生活支援を前面に、デリバリーやテークアウトができない事業者へも偏りなく支援を行うべきと考えます。
 新しい生活様式に伴い日常が変わっていく中で、高齢者、障害者の支援の在り方も変わり、まちづくり、環境保護、貧困などの社会的課題を解決していくソーシャルビジネスの参入が予想されています。ソーシャルビジネスには、例えばリモートによる学習支援、動物の預かり、家事代行、買い物送迎などがあります。行政やボランティアだけではなし得ない社会問題に資する事業を継続的に担うため、こうした民間のアイデアを活用した新しい事業、ソーシャルビジネスを行うNPOや事業者に対し、仕組みづくりや財政支援を積極的に行ってはいかがでしょうか、伺います。
 一方、コロナ禍で収入が減少し、区民税や国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険の保険料の支払いが困難な方からも御相談を受けました。今後、支払い困難者の増加が懸念されます。国民健康保険料の支払い困難者には、減免や保険証に代わる資格証、6か月間の期限つきで短期被保険者証があります。今年4月30日の地方税法改正により、新型コロナウイルス感染の拡大防止に係る徴収猶予の特例制度が始まりました。生活困窮者への住民税の猶予措置や徴収停止などの周知を多くの方々に分かりやすくさらに進めてはいかがでしょうか、伺います。
 また、国民健康保険料を滞納されて資格証明書を交付されている世帯にあっても、新型コロナウイルス感染症に罹患した場合は医療機関への受診が制限されることのないよう、区民に対してその取扱いなどを丁寧に進めてはいかがでしょうか、併せて伺います。
 3番目に、区有財産のアセットマネジメントについてお伺いします。区は、基本計画策定に向け、区有財産全体の跡地活用や整備手法の検討を行うため施設マネジメントを行うとしています。基本計画策定は令和3年度へと大幅に遅れが生じています。今回、新型コロナウイルス感染症の拡大を経験したことにより、施設の廃止や新設など、区有施設の在り方、区の財政運営や区有財産全体を視野に入れたアセットマネジメントは大きく変化すると考えます。コロナ禍で施設マネジメントの考え方はどのように変わるのか変わらないのか、伺います。また、今後の区有施設計画に当たって、既存や廃止予定の施設、新設する施設を含めた地震や風水害の避難拠点の在り方とともに、施設配置や新しい生活様式を踏まえた避難所や緊急的な活用ができる施設として検討を行ってはいかがでしょうか、併せて伺います。
 財政は、予算の編成だけでなく、執行に当たっても財政運営能力が必要であり、現在の区政は俯瞰的な財政運営が行われているとは思えません。停滞している区政、決められない区政、方針が変わる区政を今こそ脱し、区長の強いリーダーシップを発揮すべきときであり、そこに私心があってはならない。「心の師とはなるとも、心を師とせざれ」であると考えます。

 2.中野区政のBCPについて。
 初めに、中野区事業継続計画、BCPに基づいた行動評価についてお伺いします。
 区は、COVID-19、新型コロナウイルス感染の拡大に対し、パンデミック、世界的大流行への対応の判断と対策が遅れたと考えます。例えば窓口での飛沫感染防御板の設置を部署任せにしたり、職員への感染防止の観点から職場環境の確保やモビリティワークへの着手などの危機管理対策です。基礎自治体の責務として取るべき感染症へ全庁挙げての危機管理認識に欠け、俯瞰的な視点に立った思想性ある危機管理が行われておらず、ストーリーのない近視眼的な課題に始終しているように思います。平時には合議制でよいですが、今回のような非常時には区長の内容ある強いリーダーシップが求められます。緊急事態宣言や外出自粛要請を受け、これまでのインフルエンザとは大きく異なる災害に対し、中野区のBCP、事業継続計画は新型インフルエンザ編によって実際の行動ができていたのでしょうか、伺います。
 区のBCPには非常時優先業務の選定や事業継続のための執行体制の整備などが定められています。新型コロナウイルス感染に関して事業選定や体制整備は迅速に行うことができたのでしょうか、併せて伺います。
 BCPの執行に当たって顕在化した課題はどのようなものがあり、その課題をどのように解決していくのか、そして、今後の取組について具体的にどのように進めるのでしょうか、伺います。
 感染症の拡大と震災、風水害が同時に発生する可能性があります。今回の新型コロナウイルス感染を受け、震災、風水害を含めた区のBCP全般を見直し、必要に応じて早急にBCPの改定を行うべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
 危機管理の観点からクローズアップされた一つに災害時の避難所の運営があります。災害時に避難所に多くの人が参集すると、いわゆる3密の状態になり、新型コロナウイルス感染のリスクが高まる。このような事態を回避するため、分散避難という取組が提唱されています。そもそも避難所に避難せざるを得ない区民もいますので、避難所の感染症対策は重要です。避難所において感染拡大を防止するためには、避難所を増設し、スペースを確保することや、マスク、防護具など感染対策のための物品の確保といったハード面の対策に加え、誰がどのように感染対策を行うのかといったソフト面での対策も欠かせないと考えます。今後、避難所における感染症対策に関するソフト面での対策を進め、的確に避難所を運営するための訓練、シミュレーションを行うべきであると考えますが、いかがでしょうか、伺います。
 政府が打ち出した新しい生活様式は、区も基礎自治体として変革の契機として政策をつくるときが来ていると考えます。新型コロナウイルスの感染拡大は収束の方向に向いていますが、昨夜、東京アラートが発動され、第2波の警戒が呼びかけられました。区においても着実に新しい生活様式を広く区民に浸透させていくため、全庁を挙げてどのように取り組んでいくのでしょうか、伺います。
 新型コロナウイルスは完全に制圧することは困難であり、新型コロナとの共存、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた戦略という考えも出てきています。区においても、福祉、教育などのあらゆる区政の領域において新型コロナとの共存を前提とした政策の立案、執行が求められると考えます。新型コロナとの共存という状態になった場合、区政全般における政策の立案、執行においてどのような視点が必要と考えているのでしょうか、伺います。
 次に、新型インフルエンザに係る今後の対策について伺います。今回、COVID-19、新型コロナウイルス感染症患者が発生した東京警察病院、中野江古田病院、総合東京病院は、外来診療を一時休診したため、地域の患者さんの受診できる病院が一時的になくなりました。COVID-19の陽性患者は高齢者で基礎疾患のあった方の重症化が指摘されました。病を抱えた区民はいつどこで受診できるのかと不安が広がりました。また、薬局へ薬の調剤、購入についての問合せが増えたとも聞きます。地域の医療機関で感染症が発生した場合は、感染の拡大防止のため、外来診療の休診や地域の拠点医療施設を一時的に閉鎖せざるを得ません。このような事態が発生したとき、地域における医療の継続のためにどのような取組を進めていくのでしょうか、伺います。
 保健所には、発熱や病院対応など多くの相談電話があり、昼夜を分かたず献身的に対応してくださった保健師さんをはじめ、保健所などの職員の皆様に改めて感謝を申し上げます。
 読売新聞5月11日都民版には、医療現場を陰で支える東京都看護協会の専門看護師が医療現場に派遣され、医療従事者の励ましと作業を協力し合い、労苦を分かち合っている記事が掲載されていました。区は医療従事者の取組を評価すべきと考えます。
 一方で、医療従事者への根拠のない差別と言葉の暴力、バッシングなどのネガティブキャンペーンが区内でも耳にされ、保健所や区に対してもそうした声があったと聞きます。地域からは、防災無線を使った区長自身の名前の連呼の放送に対し、選挙運動をしているのかと先日まで毎日のように御批判をいただきました。区が感染症の発生など未曾有の危機に対処するために強力な首長のリーダーシップを発揮することが不可欠です。今回の新型コロナウイルス感染に関する全庁的な対応について区長はどのような指示を出し、どのように判断し対応を行っているのでしょうか、伺います。
 今後、早期に感染症の拡大防止に係る庁内の連携や危機に対する認識の強弱、想定外の感染症対策を含めた区の組織全体に係る危機管理について、今回の全庁的な行政対応に関する検証を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、外部から専門家を入れた客観的かつ専門的な検証を行うべきと考えますが、いかがでしょうか、併せて伺います。
 妊婦からCOVID-19禍でPCR検査を受けられますかと御相談をいただきました。生まれてきた赤ちゃんや立会いの助産師などが新型コロナウイルスに感染するリスクを軽減するため、感染が疑われる症状のない妊婦は自費で検査を受けることになっています。国は、希望する出産間近の妊婦に国が費用を全額補助してPCR検査を実施します。区は、検査を希望する妊婦や助産師に対し、国の制度にのっとったPCR検査を実施してはいかがでしょうか、伺います。

 3.高齢者と子どもたちへの支援について。
 初めに、とうきょうママパパ応援事業で拡充する産後ケアについてお伺いします。
 東京都は、産後家事・育児支援事業として、年間利用上限を拡充し、第1子出産後は60時間、3歳未満の兄、姉がいる第2子以降の出産後には180時間まで補助を予定しています。都の補助事業は今年度から5年時限です。実施要綱によれば、この事業の目的は、出産、子育てに関わる不安を軽減するとともに、各家庭のニーズに応じた支援を妊娠期から子育て期にわたって切れ目なく行うことにより、妊娠並びに乳幼児及びその保護者の心身の健康と保持及び増進を図るとされており、出産直後の産後鬱を防止し、健全な子育てをするために恒久的に必要な支援と言えます。この補助を活用すれば、より質の高いサービスと利用増で母子の孤立を防ぐことが可能になると考えます。利用者にとって利用しやすい適切な利用額の設定とともに、ケア支援者への委託料を増額してはいかがでしょうか、伺います。
 人材育成事業についても都は今回大きく補助を行います。産後ケアの母子保健法の一部改正に合わせ、都の補助も1歳まで産後ケアが受けられることとなり、これまでの倍以上の需要が見込まれ、ケア支援者の人材育成は急務であります。産後ドゥーラは民間資格とはいえ、受講料を支払い、70時間の養成講座を受け、資格を取得しています。都の補助は民間資格の受講費用に充てることもできると聞きます。区民のサポートを受けるドゥーラを増やすため、区としてドゥーラの養成講座を受講する受講者に対し助成を行ってはいかがでしょうか、伺います。
 また、家事支援を含む育児サポーターが適切に支援できるよう、研修会の実施も必要です。年に数回、産後に特有な体と心の変化について学ぶ機会を設けてはいかがでしょうか、併せて伺います。
 2番目に、虐待と孤立を防ぐ子ども、高齢者等への食の支援についてお伺いします。コロナ禍で学校や保育園が休業となり、母親が子どもとずっと一緒にいて三食の炊事が大変と感じている家庭が多いと思います。給食のような安全な栄養価の高い食事を配布できるとよいのですが、貧困だけでなく、虐待防止の意味でも、希望する親子へ週1度でも食事の支援を通じた支援策を講ずるべきと考えます。
 子ども家庭支援センターが、今、支援を必要としている家庭をはじめ、本来子ども宅食を必要とする家庭への支援を開始すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
 高齢者の配食と見守りについて、日頃のコミュニティやデイサービスが断たれ、孤立していることで鬱や認知症が進んでいる高齢者が多くいることを実感しています。また、食事もミニデイなどが休止中で栄養が偏ってもいます。新型コロナ収束後も継続できる配食サービスや買い物弱者支援を開始すべきではないでしょうか。見守りや高齢者向けの情報提供の充実を図ってはいかがでしょうか。また、高齢者会館や区民活動センターを活用した熱中症予防の密にならない居場所づくりや地元地域で体操や相談会の実施と、支援対策の一覧を配布するだけでなく、高齢者は対面での相談によらないと分かりづらい方も多いので、アウトリーチチームを中心に特別定額給付金などの相談対応もできる体制を強化すべきではないでしょうか、併せて伺います。
 3番目に、中野区の子ども食堂への支援についてお伺いします。区の子ども食堂への支援の現状は、都の補助金交付の申請窓口となっているだけで、子ども食堂の活性化支援にはなっていません。現在、区内15団体の活動がある中で昨年度この補助金を申請したのは1団体のみで、社会福祉協議会の助成事業には6団体が申請しています。そのほかは民間企業などの助成金を活用しているそうです。今回、コロナ禍にあって必要性は増しており、抜本的な支援体制を見直す必要があると考えます。
 そもそも子ども食堂は貧困家庭だけに届けるものではありません。むしろ子どもの孤食の解消や母子のコミュニティによる不安や育児疲れの解消に役立つと言われています。貧困対策は行政が責任を持つべきであり、以前から私も提案している子ども宅食事業などを行い、子ども家庭支援センターを通じ、要支援の家庭をさらに拾い上げ、把握することで貧困家庭に食の支援を届けることができます。
 社会福祉協議会は区と違い自主事業で活動助成を行っているため、より柔軟な助成事業を行えます。助成事業を一本化し、団体が助成金を活用しやすくすべきと考えます。区は場所や物資の支援を行い、ボランティアの方々の負担軽減につなげてはいかがでしょうか、伺います。
 区は積極的に開催場所の確保や周知などに協力すべきと考えます。兵庫県明石市では、小学校区に子ども食堂を1か所とのスタンスで、小学校や児童館などで開催する子ども食堂もあると聞いています。公共施設であれば衛生面でも支援がしやすいのではないかと考えます。併せて見解を伺います。

4. 中野区のまちづくりについて
中野区のまちづくりについてお伺いします。区は、これまで中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくり、木造密集地域における防災まちづくりなど、着実に歩みを進め、成果を上げてきました。コロナ禍のまちづくりにも新しい生活様式が求められ、区の進めるまちづくりも転換が必要であると考えます。まちづくりは区民の安全・安心、活力のある基盤であることは変わりありません。
 コロナ禍で危惧されることは、基本構想や基本計画策定の延伸により、整合性を図るべき個別計画等の都市計画マスタープランや住宅マスタープラン、福祉施策等の策定の遅れと影響が生じることと考えます。また、グランドデザインに基づく各地区のまちづくりにも大きな影響があると思います。
 新型コロナ収束後も、疲弊した区内経済の浮揚策として公共事業を中心としたまちづくり施策は極めて重要であり、これまで行ってきたまちづくりの歩みを止めることなく、さらなる中野区の発展につなげていかなければならないと考えます。
 募集中の事業計画や規模の縮小など、萎縮した方向に向かわないか懸念があり、新区役所庁舎と区役所・サンプラザ跡地の事業性を確保すべきと考えます。
 区役所・サンプラザに係る中野駅新北口駅前エリア再整備事業は既に募集が始まり動いておりますが、今後の中野駅周辺のまちづくりとスケジュールを区長はどのようにお考えでしょうか、伺います。
 区役所・サンプラザに係る中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画については、コロナ禍で募集期間など要項の変更はあるのか、事業の再検討など見直しはあるのか、今後の区の関与に変更はないのか、区長にお伺いし、私の全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 小林議員の御質問にお答えいたします。
 最初に、中野区の財政運営について、予備費の活用に関する考え方についてでございます。今回の新型コロナウイルス感染症への対応に際しましては、PCR検査センター開設やマスク、消毒液の購入など、区議会で審議するいとまがなく、早急な対応が必要な経費につきましては予備費を活用して対応したところでございます。予備費につきましては、当初予算で想定していない突発的、緊急的な対応をする事案が多く占めることから、あらかじめの議会報告は難しい場合もございますが、事後報告も組み合わせながら必要な説明はしてまいります。
 サーモグラフィー等の検温機器の導入についての御質問です。緊急事態宣言中でございまして、区内での罹患者も確認されていたことから、来庁者の安全安心の確保を目的に区本庁舎における検温を実施することとしまして、必要な検温機器類等について早急な調達を図るため予備費の対応といたしたところでございます。検温は当初5月の1か月を見込み、職員体制によって実施したところでございますが、その後の実施状況等を踏まえ、6月末まで延長することとしました。その際必要な監視管理体制については、庁内体制や先行自治体の事例なども踏まえて警備会社へ委託することとしたものでございます。
 なお、5月11日から5月末までの実績として、検温総件数は延べ約2万人を推計しておりまして、結果、37度5分以上の発熱を検出した3名の方には自粛の要請に協力をいただいたほか、検温等に関する苦情は一件もございませんでした。各区有施設での検温機器の導入につきましては、その施設の利用者数、利用目的、運営実態などの状況に応じて対応を検討してまいります。
 次に、起債の抑制についてでございます。現在、区には、区立学校再編整備、区役所新庁舎建設や中野駅周辺のまちづくり等、財政負担の大きな事業が山積しているところでございます。施設更新経費のピークは令和元年度から令和6年度となっております。こうした一時期に多額の費用を必要とする施設建設などの投資的事業につきましては、基金と起債を計画的にバランスよく活用していく考えでございます。これまでも歳入一般財源の充足が見込める際には起債の活用を抑制していたところでございます。後年度への負担が大きな起債発行については慎重に取り扱い、公債費が区民サービスに影響を及ぼさないよう適切な財政運営を進めていく考えでございます。
 事業者への区独自の支援についてでございます。整骨院や鍼灸マッサージなど医療周辺サービスにつきましては、高齢者のフレイル予防などにも関係しており、区民の日常生活機能の維持に関係性の深いサービスだと認識しております。また、その他の生活支援に関わる事業者も含め、区内の実態の把握に努め、支援の必要性などについて研究をしてまいります。
 ソーシャルビジネス支援についてでございます。区は、従来より区民生活を支える事業を対象として、経営、操業等に対する支援を重点的に行ってきたところでございます。今回国が公表した新しい生活様式でも、区民の皆さんの日常生活を支えるためになお一層の工夫が必要とされているところでございます。ソーシャルビジネスの視点は今後の区民生活や事業の在り方の検討に必要なものであることから、ニーズの変化などを捉えつつ、国の制度等も参考にしながら活動の支援方法等について検討してまいります。
 次に、徴収猶予の特例制度の周知の強化についての御質問です。新型コロナウイルス感染症の発生に伴って納税が困難な方への対応として設けられた徴収猶予の特例制度や納税相談の案内については、既に区報や区ホームページで積極的な周知に取り組んでいるところでございます。今後は、納税通知書に同封するお知らせやSMS――ショートメッセージサービスなどを通じて周知をさらに進めていく予定でございます。
 次に、国民健康保険の資格証明書交付世帯の医療機関受診時等の取扱いについてでございます。国民健康保険料の滞納があり、資格証明書の交付を受けている世帯においても、発熱症状等新型コロナウイルス感染症の発症の疑いのある方が医療機関の帰国者・接触者外来を受診するとき等においては、医療機関を受診する際に窓口で資格証明書の提示によって保険証を提示した場合と同様、負担割合が3割で受診できる取扱いとする旨国から通知されております。区は、この通知に基づいて、新型コロナウイルス感染症に罹患した等の場合には保険証を提示した場合と同様の取扱いとしております。このことにつきましては、区のホームページで周知するとともに、電話や窓口における納付相談においても説明をしてまいります。
 次に、区有施設マネジメントについてでございます。今般の社会経済情勢の変化は、これからの行政や地域活動の在り方に大きく影響を及ぼすものと考えており、区有施設整備の考え方につきましても改めて見直す必要があると考えております。見直しに当たりましては、区財政の長期的な見通しや災害時における避難拠点としての活用、新しい生活様式への対応など、新たな視点を持ちながらこれからの施設の在り方を検討してまいります。
 中野区政のBCPについてでございます。
 まず初めに、BCPの実施についてでございます。本年4月7日の緊急事態宣言を受けて、区では直ちに中野区新型インフルエンザ等対策本部を立ち上げるなど、区が一体となって対応できるよう体制を整備したところであります。また、緊急事態宣言によってBCPである中野区事業継続計画と感染症への対応の具体的な措置を定めた中野区新型インフルエンザ等対策行動計画を併せて発動したところであります。
 こうした対応のもと、各部においては、事業継続計画に基づいて区民生活への影響を可能な限り避けることを念頭に、通常業務の休止や実施規模の縮小を適宜行うことと併せて、中野区新型インフルエンザ等対策行動計画に基づく応急対策業務を的確に実施したものと認識をしております。
 BCP実行時の課題認識と今後の取組についてでございます。中野区政のBCPに関わる新型コロナウイルス感染症の対応につきましては、新型インフルエンザ編を発動したところであります。今回の感染症では、仮に来庁者やある職場から職員の罹患者が発生した場合、クラスターにつながるおそれや職場や庁舎の閉鎖といった事態が想定されることが明らかになりました。今回の経験をもとに、感染症の拡大に伴う様々な状況においても行政機能が停滞することがないよう対応策を検討し、中野区政のBCPに反映するなど改善してまいります。
 BCPの見直しについてでございます。中野区政のBCPは震災編及び新型インフルエンザ編により構成されておりますが、感染症拡大と大規模災害の複合災害が発生した場合を想定した内容について見直しも検討してまいります。
 避難所運営訓練等の実施についてでございます。現在、避難所における感染症拡大防止対策などを新たに盛り込んだ避難所運営マニュアルの改訂を検討しております。今後、改訂内容を踏まえ、必要な職員訓練や避難所運営訓練を推進してまいります。
 新しい生活様式の今後の取組及び周知についてでございます。区民が安心安全に生活できるよう、国が示している新しい生活様式を分かりやすく伝えていくことは区の重要な役割であると認識しております。様々な媒体や区で行っている事業などを通じて広く区民に周知してまいります。
 次に、コロナとの共存を見据えた施策の立案、執行の視点についてのお尋ねでございます。新型コロナウイルスと共存する生活は避けられない状況にあり、人々の価値感も地域社会の在り方も大きく変化していくと認識をしているところでございます。今後の施策の立案に当たりましては、感染拡大防止と区内経済の活性化の二つのバランスを考えながら、的確なニーズ把握と将来に向けた新たなシナリオを書いていくことが必要であると考えております。
 地域の医療機関が閉鎖した場合の取組についてでございます。病院などの医療機関におきまして新型コロナウイルスの院内感染などが発生した場合は、原則として、一定の期間、外来診療や救急患者の搬送受入れなどを停止することになります。このような事態が発生したときに、区は地域医療の確保に向けて、区医師会や近隣病院等に個別に患者の受入れ協力を要請しておりますが、今後は、糖尿病や脳卒中等、医療法に基づく区西部保健医療圏のネットワークによる相互のサポート体制について東京都に提案をしてまいります。
 感染症拡大における全庁的な対応についてでございます。感染拡大及びそれに伴う経済の低迷を抑制することを目的とした全庁的な対応を行うため、状況に応じ兼務職員による応援体制の整備はもとより、各種緊急経済対策や区民生活支援策など、その都度必要な対応を図ってきたと考えております。新型コロナウイルス感染症への対応について得られた経験を今後の危機発生時においても十分に活用していくとともに、より全庁的な対応が図られるよう専門的な知見を取り入れることも含めて検討してまいります。
 次に、妊婦や助産師に対するPCR検査の実施についてでございます。国が、妊婦に対するPCR検査の実施に向けて令和2年5月27日付で通知を発出したことは承知しております。妊婦がPCR検査を受けることは新生児や助産師の感染リスクを低減させるメリットがあると言われておりますが、一方では偽陽性、偽陰性の問題や陽性と判断された場合の分娩体制の確保、さらに母子のフォローアップの在り方など、検査を実施するに当たっての課題も複数ございます。今後、区は、他自治体の取組など必要な情報を収集しながら、区医師会や帰国者・接触者外来を持つ医療機関などとPCR検査の在り方を検討してまいります。
 次に、中野区のまちづくりについて。
 最初に、中野駅周辺のまちづくりとスケジュールについてでございます。中野駅周辺のまちづくりは、東京の新たな活動拠点として区の持続可能性を牽引するものであり、駅を中心とした基盤整備や各地区の開発事業が現在進んでおります。今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、中野駅周辺まちづくりにおいても、状況を踏まえた対応やさらなる知恵が必要であると認識しておりますが、これまでに区が示した基本的な方針やスケジュール観を見直すことは考えておりません。目指すべき将来像を実現し、これまでの成果を中野のさらなる発展につなげるため、立ち止まることなく着実に取り組んでいく考えでございます。
 次に、新北口駅前エリア民間事業者募集の変更、見直しについてでございます。新北口駅前エリア拠点施設整備の民間事業者募集、選定スケジュールについては、緊急事態宣言の発令、継続により応募受付以降の手続を延期しておりました。5月25日の緊急事態宣言の解除を踏まえて、今後、募集、選定手続を速やかに再開する予定としております。
 新北口駅前エリア拠点施設整備は再整備事業計画に基づき進めることとしており、事業計画の内容や区の関与についての考え方はこれまでと変わってございません。なお、事業者決定後、社会情勢等を踏まえつつ、事業の詳細について検討を進め、事業計画案を作成することとなります。
〔地域支えあい推進部長鳥井文哉登壇〕
○地域支えあい推進部長(鳥井文哉) 私からは、高齢者と子どもたちへの支援についてのうち、まず産後ケア事業における利用者負担額と委託料の設定でございます。区は、安心して子育てができる支援体制を確保するため、妊産婦の自宅に訪問して支援する事業として、ケア支援者派遣事業及び産前産後家事支援事業を実施しているところでございます。新たに東京都が補助事業として行います産後家事・育児支援事業は、利用者負担の軽減を想定したものではございますが、利用者の負担額や委託料の増額は区市町村の判断となっていることから総合的に検討してまいります。
 次に、家事育児サポーターの人材育成でございます。現在、区のケア支援者派遣や産前産後家事支援事業は産後6か月までを対象としてございますが、法改正後の産後ケアや東京都のとうきょうママパパ応援事業の産後家事・育児支援事業は1歳までを対象としてございまして、今回の都の補助を活用した場合、御指摘のとおり、需要の拡大が見込まれるところでございます。家事育児サポーターを対象とした研修会の実施につきましても補助対象となってございまして、今後示される予定の東京都の交付要綱等を踏まえて適切に補助制度を活用してまいります。併せて御提案のような研修の実施につきましても検討してまいります。
 次に、新型コロナ収束後も継続できる食事サービスや買い物弱者支援でございます。高齢者の単身世帯や高齢者のみで暮らす世帯を対象として、配食サービス事業者の協力を得て、見守り、健康づくり、介護予防支援を行う事業を検討しているところでございます。配食サービスと併せて、地域情報や健康づくり、介護予防関連情報の提供なども行うことを予定してございます。買い物弱者の支援につきましては、この事業を実施しながら、高齢者の状況やニーズ等を把握した上で検討したいと考えてございます。
 次に、熱中症予防等の居場所づくりと特別定額給付金の相談、対応でございます。高齢者会館や区民活動センターを活用した熱中症予防のための居場所づくりなどの実施に当たりましては、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのガイドラインに沿いまして、手洗いやせきエチケットなどを徹底するとともに、密閉、密集、密接を避ける条件や環境を整えてまいります。特別定額給付金などの相談、対応等につきましては、申請に支援が必要な高齢者が多くいらっしゃることから、民生児童委員の協力を得ながらアウトリーチチームを中心とした支援を行うことを予定してございます。
〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕
○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、高齢者と子どもへの支援についての御質問のうち、子どもの宅食、配食の関係と子ども食堂の御質問にお答えいたします。
 初めに、支援が必要な子育て家庭への配食事業についてでございます。子ども家庭支援センターでは、支援が必要な家庭に対して、養育支援ショートステイの利用や養育支援ヘルパーの派遣といった子育て支援サービスを行うことで保護者の負担軽減を図るなどの取組を行ってきたところでございます。今後、これらの子育て支援サービスに加えて、多様なサービス提供のために、相談支援を継続している家庭をはじめ、配食が必要と考えられる家庭に対する配食事業の実施を検討していきたいと考えております。
 次に、子ども食堂に対する御質問でございます。まず、子ども食堂への助成金手続等の支援の在り方についてでございます。子ども食堂には、困難な状況にある子どもたちへの支援を中心に活動するという場所のほか、地域の交流拠点を設けようとするものなども形態があるというふうに認識してございます。助成金手続などの負担軽減を図るために、事務事業の一本化を検討するとともに、区が行います物資の提供、活動場所の支援等の在り方につきましても、支援団体へ必要な支援を機動的に行うため、様々な観点からの検討が必要であると考えております。
 最後に、開催場所の確保の協力についてでございます。中野区内の子ども食堂は、現在、区民活動センターや高齢者会館、高齢者施設、民間施設などを活用して活動を行っておりますが、区立施設の優先利用についての御希望が多く寄せられているところでございます。こうした団体の声を受け止めながら、よりよい活動場所を確保するための支援策を検討してまいります。

ページトップ