平成27年第3回定例会決算特別委員会総括質疑〈質疑・答弁〉
次に、小林ぜんいち 委員、質疑をどうぞ。
○小林(ぜ)委員 おはようございます。平成27年度第3回定例会、決算特別委員会におきまして公明党議員団の立場から総括質疑をさせていただきます。質疑は通告のとおりでありますけれども、その他で2問予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
最初に、平成26年度決算についてお伺いいたします。平成26年度の財政白書をもとに中野の財政について何点か質疑をさせていただきます。
初めに、歳入歳出などについてお伺いいたします。中野区の財政白書の2ページには、平成26年度決算の概要が記してあります。この中の表1で、普通会計の財政指標等が記してありますが、これは中野区の財政状況の把握で、財政全体の分析に用いる表となっていると考えます。まずこの財政指標ですけれども、単純に見ていくと、歳入総額は、平成26年度は1,323億7,712万円余、平成25年度からは14.7%増額の169億9,360万円の増と。歳出総額は、平成26年度は1,274億2,957万円余、平成25年度からは13.3%の増額となっています。また、経常収支比率や実質公債費比率などの財政指標も改善されており、地方債残高は増加していますが、それ以上に積立基金残高が増加しており、財政の健全性が進んでいるとも読み取れます。そこで、平成26年度決算をどのように総括して、どのように評価しているんでしょうか、お聞きいたします。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 平成26年度の決算につきましては、国の経済政策による景気の回復の影響を受けまして、特別区税及び特別区交付金、これらの一般財源が大幅にふえた。また、一般財源の伸びを反映しまして経常収支比率は前年度比5.9ポイント減の85.1%、実質公債費比率につきましても0.8ポイント減の5%となるなど、財政指標も改善されてございまして、財政の健全化が進んだ決算であったというふうに評価をしているところでございます。
○小林(ぜ)委員 次に、平成25年度決算の財政白書によると、普通会計による分析として、平成25年度においても財政調整基金の取り崩しなどを行っており、厳しい財政状況が続いていますと分析していました。平成26年度は、数字から読み取る限り、歳入総額については25年度決算から高くなっています。しかし、平成26年度の普通会計による分析においては、26年度の概要へのコメントが記載されていません。どのように分析を行っているのでしょうか、お伺いいたします。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 地方公共団体の財政の健全化に関する法律、これに基づく指標につきましてもいずれも健全性を確保していること、また、平成26年度につきましては、結果として財政調整基金の取り崩しを行うことなく事業遂行をすることができたこと、こういうことからより健全性は高まったというふうに認識してございます。一方で、特別区税や特別区交付金につきましては景気の影響を受けやすく、また、不合理な税制改正による法人住民税の一部国税化など、今後の歳入状況は楽観できるものではない、そのようにも考えているところでございます。
○小林(ぜ)委員 次に、歳入の主要財源であります特別区税と特別区交付金について幾つかお伺いいたします。
まず特別区税について、前年度比17億9,000万円、率にして5.9%の増になっていますが、この要因についてはどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
○杉本区民サービス管理部副参事(税務担当) 特別区税の増加要因は、特別区たばこ税が約1億円減少したものの、特別区民税が約19億円増加したことによります。特別区民税の増加要因でございますが、景気の回復基調を受けまして区民の平均課税額、納税義務者数、土地や株式などの譲渡分離所得の増などによりまして、現年課税分の調定額が16億円余増加したことが挙げられます。また、催告書の送付後に確認を促す後追いはがきの送付、給与照会・給与差し押さえを中心とした滞納処分の強化を図ったほか、全庁職員を挙げて実施した臨戸徴収など、区が一体となって収納率向上に取り組んだことによりまして、特別区民税の収入率が向上したという2点でございます。
○小林(ぜ)委員 さまざまな努力をされて徴収率が向上したことは大変評価されます。本当に寒い日もあれば暑い日もある。そして、いろんな中でしていただいたというふうに思います。しかしながら、23区平均と比較しますと、差は縮まったとは言えずに、まだ下回っている状況にあります。そこで、まずその23区平均まで、または、23区平均を上回る努力が必要だと思います。そこで、下回っている要因と今後どのような取り組みをしていくのか、また、どのような効果をどの程度見込んでいるのかお伺いいたします。
○杉本区民サービス管理部副参事(税務担当) 現在、東京都及び都内62区市町村では、平成29年度からの個人住民税の特別徴収の徹底に向けた取り組みを推進しておりまして、中野区でも給与差し押さえを行った際に特別徴収への切りかえ勧奨を行ってございます。平成27年度当初の調定では、普通徴収が約8億円減りまして、特別徴収が約9億円増加いたしました。景気の回復に加えまして、こうした取り組みが一定の効果を上げたと考えてございます。今年度は、昨年度効果を上げました収納率向上対策を引き続き実施することに加えまして、本年7月から開始いたしました現年度分の住民税滞納者への早期対応と自主納付の呼びかけを行うため、電話及び戸別訪問による納付勧奨業務委託を開始いたしました。こうした取り組みをあわせまして、今年度は23区中15位以内を目指してまいりたいと思います。
○小林(ぜ)委員 収納率からすると何%になるかですけれども、高い収納率を目指していただきたいというふうに思います。
次に、特別区交付金についてお伺いします。財政白書8ページ、図8、調整三税等と特別区交付金の推移で、平成22年度以降は特別区交付金が増加し、平成26年度は前年度比27億円増の360億円になっています。そこで、この特別区交付金が前年度比27億増となった要因についてどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
○黒田政策室副参事(予算担当) 特別区交付金の伸びの要因ということでございますが、特別区交付金は、都が徴収しております調整三税をもとに都・区の配分割合に基づき交付されているところでございます。調整三税の影響は特別区交付金にも出ているところでございます。平成25年度から26年度につきましては、調整三税は、固定資産税が2.5%の増、市町村民税法人分は17.4%の増、特別土地保有税は25年度と同規模で、調整三税としましては7.4%の伸びをしております。また、特別区交付金総額としましては7.7%の増となっております。全体の交付額の影響が、中野区の特別交付金の増額にもつながっているというふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 経済成長を反映した法人住民税などの伸びは今後も期待したいところですけども、どのように認識しているのでしょうか、お伺いいたします。
○黒田政策室副参事(予算担当) 法人住民税の伸びの認識ということでございますが、法人住民税の伸びは平成27年度におきましても、東京都は7月末の段階で収入ベースで13%余りの伸びを示しております。経済政策の影響などにより景気の改善への影響が出ているというふうに考えております。しかしながら、法人住民税の一部の国税化が税制改正の影響で今後あらわれるというふうに思いますので、東京都においても平成27年度最終の予算額ベースでは、前年度比、減少を見込んでいるところでございます。また、8月以降の景気の下押し傾向も現在ございますので、引き続き注意は必要だというふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 法人住民税は、先ほどもありましたけれども、国のほうの一部国税化の動きについては地方自治の本旨に反するというふうに考えています。私も非常に問題があるのではないかというふうに思っております。区としてはそのことについてどのように認識しているでしょうか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 法人住民税の一部国税化につきましては、地方財政の衰退を都市と地方の財政力格差とし、平成26年度の税制改正におきまして自治体間の財源調整の手段として地方税である法人住民税の一部を国税化し、その全額を地方交付税の原資とする見直しを国はしてございます。国は消費税10%への変更段階におきまして、さらに税源の偏在を是正する方策を講じるとしているところでございます。この影響につきましては、特別区にとっては1,000億円にも上ります減額が予想されておりまして、深刻な課題として受けとめております。このことは地方税の根本原則をゆがめ、地方分権、地方自治の趣旨から大きく外れるものと考えておりまして、特別区各区議会、東京都が一丸となって税制改正に反論していかなくてはならないというふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 大きな減になってくるわけで、本当にこれは課題があるのかなというふうに思います。
次は、財政白書8ページ、図9におきまして、一般財源の推移では特別区交付金と同様に相関関係があると読み取れます。景気の動向によって当然のことながら一般財源も増減の関係があると思います。この一般財源の推移から安定的な財政運営を行っていくために何が重要であると認識しているのでしょうか、お伺いいたします。
○黒田政策室副参事(予算担当) 安定的な財政運営の認識でございますが、一般財源が減少した際にも財政調整基金を繰り入れることによりまして、生活保護や介護給付などの社会保障に係るサービスや新たな行政ニーズについて着実に対応できたというふうに考えております。今後も基準となる一般財源規模を財務比率の根幹としまして、計画的に財政運営を行っていくことが肝要というふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 消費税のこともありますので、消費税の増税分については社会保障費に充てることになっていたはずだと思います。その充当先についてはどのようになっているのかお伺いいたします。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 地方消費税交付金のうち引き上げ分地方消費税収につきましては、事務費等を除いた医療、介護、子ども・子育て等の社会保障施策に要する経費に充てるものとされてございます。区が消費税増税分として社会保障費に充当すべき額、こちらにつきましては主要施策の成果の4ページにも記載してございますけれども、8億4,500万円余でございました。この金額つきましては、民間保育所等の運営助成事業、それから、国民健康保険事業などの一般財源に充当しているところでございます。
○小林(ぜ)委員 消費税増税分は平成26年度決算の中で社会保障費に十分に充当されていると言えるのか、また、消費税の今後の影響額と社会保障費に充てるべき大まかな見込みについてお伺いいたします。
○黒田政策室副参事(予算担当) 消費税増額分が社会保障経費に十分に充当されているかということでございますが、26年度の消費税増額分はおよそ8億円でございます。先ほども主要施策でお示ししたとおり、子ども施策等につきまして一般財源の追加分に重ねるというふうになっております。それと、社会保障費に充てるべき額の大まかな今後の見込みということでございますが、平成27年度は、地方消費税交付金は約61億円を見込んでおりまして、そのうち社会保障の財源とされる部分は30億円というふうに見込んでいます。また、平成29年度から消費税が10%に変更した場合でございますが、平成29年度につきましては半年分の影響というふうになりますので、社会保障費の財源に充てるものは約32億円というふうに考えております。なお、子ども・子育て新制度や国民健康保険、介護保険、生活保護費など社会保障関連に係る経費の一般財源は、地方消費税の社会保障に充てられるべき経費を上回っておりまして、また、サービスによっては国庫補助率が下がった事業が出てきているために、国の一般財源への充当は依然として生じてくるというふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 影響は大きいかと思います。
次に、実質収支、平成25年度は18億2,323万円余でありました。平成26年度は44億611万円余となっています。実質収支が増加した要因についてどのように分析しているのでしょうか、お伺いいたします。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 普通会計決算におきます歳入総額から歳出総額を差し引きました形式収支でございますけれども、平成25年度は28億9,100万円余、平成26年度は49億4,700万円余と、約20億5,500万の増となってございます。これにつきましては、歳出総額が13.3%の増であったのに対しまして、歳入総額の増は14.7%と、歳入の増加率が歳出の増加率を上回ったためでございます。また、翌年度へ繰り越す財源につきましては、対前年度比で5億2,700万円余、49.3%の減となったことも実質収支が増加した要因であるというふうに分析してございます。歳入が増加した要因につきましては、国の経済成長による景気回復の影響を受けまして、特別区税、特別区交付金の一般財源が増となっているためというふうに考えてございます。
○小林(ぜ)委員 実質収支による余剰金で44億円余りは、今定例会の補正予算の中でも財政調整基金に積み立てることとして計上されています。財政調整基金は景気等の変動に伴い、一般財源が著しく不足する場合などに財政調整基金を取り崩すということになっていたと思うんですけども、年度間の財源を調整することの目的として積み立てていると思います。そこで、年度間調整以外の用途に積み立てることはなぜ必要じゃないのかお伺いいたします。
○黒田政策室副参事(予算担当) 財政調整基金を年度間調整以外になぜしていないのかという御質問でございますが、まず財政調整基金につきましては、年度間調整の役割のほかに施設の老朽化などにつきましても積み立てを行っているところでございます。財政調整基金を基本的には年度間調整として積み立てていくということにしておりまして、他の特定目的基金については、剰余金につきましては今のところやってございません。
○小林(ぜ)委員 財政調整基金については、年度間調整のほかに施設の老朽化対策の財源としても積み立てていると私は認識しているんですけれども、施設老朽化による基金の積み立てはどのくらいの額を想定しているんでしょうか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 財政調整基金の施設改修分の活用等が考えられる大規模改修等の経費につきましては、27年度当初予算においても区有施設の保全工事など約8億円相当の予算を計上しているところでございます。今後につきましても、もみじ山文化センターの大規模改修や区有施設の老朽化など多数の改修計画もあることから、現在の積立金を上回る積み立てが必要だというふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 財政白書5ページの図3の歳入決算の一般財源の推移や、図9、一般財源の推移を見ると、かつてのリーマンショックなどで特別区交付金や特別区民税が減少したときから、平成26年度決算あたりでやっと平成16年、20年あたりの数字に戻ったのかなという感想を持ちます。しかし、最近でも中国の経済の不安定さ、先行きの不透明感があると思います。財政白書20ページの表にある財政調整基金残高230億円について、今後どれくらい必要と考えているのでしょうか、お伺いいたします。
○黒田政策室副参事(予算担当) 先ほども委員も御指摘ございましたが、リーマンショック前の平成20年度、また、その後の21年度は、一般財源が単年度で38億円減少しているところでございます。極端に一般財源が減額したときの対応を考慮しますと、複数年度の年度間調整としても財政調整基金の残高は必要だというふうに考えております。施設改修分も含め、他の基金などのバランスも考慮しますと、230億円を上回る積み立てが必要だというふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 財政調整基金について、年度間調整をどれくらいに見積もっていくかを考えるときに、中野区では予算編成のときに基準となる一般財源、平成27年度予算では672億円と定めて、歳出をその範囲に合わせるということをしていました。歳入が多いときには超過額としてその基金を積み立てることはあるのでしょうか。その超過額について、財政調整基金を他の基金に積み立てることはあるのでしょうか、伺います。
○黒田政策室副参事(予算担当) 予算編成時におけます一般財源の超過額につきましては、義務教育施設整備基金、まちづくり基金など、目的、計画に応じて積み立てるものを優先しまして、その上で財政調整基金の施設改修分などに必要に応じて積み立てを行っているところでございます。
○小林(ぜ)委員 今お聞きしました義務教育基金の積み立てですけども、それについてお伺いしたいと思います。区政運営の根幹として基準となる一般財源の考え方については、堅持しながらいかなければいけないと思いますし、また、着実な財政運営を行っていることも理解できます。
次に、目的基金の義務教育基金についてお伺いいたします。義務教育基金の平成26年度の決算額は幾らでしょうか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 義務教育施設整備基金でございますが、平成26年度は32億8,203万6,000円の積み立てを行っているところでございまして、最終的には140億8,857万7,000円の残高となっております。
○小林(ぜ)委員 昨年度の決算議会でもお聞きしておりますけれども、昨年中野区立小・中学校施設再編計画が出され、区立小・中学校の施設整備スケジュールも発表されました。今年度は新山小学校の改修などがありますけれども、補正予算の提案にもあったとおり、三中や十中の基本構想、基本計画は併設施設の可能性も含めて検討時期を延ばすことになりました。そこで、新校舎に新たな施設を併設するということは、学校の編成による新校舎の建設とか大規模改修など、予定した経費に変更が生じるのではないかというふうに考えます。併設などを行う施設によって特定財源を充当できるものもあれば、一般財源で賄わなければならない状況もあるのではないかと私は考えます。先ほどお聞きしましたけど、140億円といった現在の義務教育基金で学校再編計画に伴う整備費を賄うことはできるのかな、ある意味不安、無理ではないのかなというふうにも考えます。また、この間の物価上昇による原材料の値上がりですとか設計労務単価の上昇、消費税10%の想定を行った場合、現在積み立てている義務教育基金で改修、改築、新築の建設経費をどのように計画していく考えなのかお伺いいたします。
○黒田政策室副参事(予算担当) 義務教育基金の積み立ての計画ということでございますが、学校の改築、大規模改修計画等に伴う整備費につきましては、物価上昇などの外的な要因も含め長期計画を立て、それに合わせた基金の積み立てを行い、対応を図っていきたいというふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 私は以前から未来を担う一番大切なお子さんたち、生徒さんたち、小学校・中学校の新築、改築などに起債をかけ、負担を後年に送るというのは、中野区の財政計画の上ではあまりいいことではないというふうに思っています。公債費負担率からいっても、財政白書14ページにもあるように25年度から8.2%の横ばいです。公債費は126億から120億に下がっていますけれども、21ページの特別区債残高は、平成26年度では320億から352億と増加しています。23区平均よりも大きな残高となっています。このようなことを考慮しても公債費に頼ることのない学校改修、新築計画を実現するためにも、今年度の決算のように実質収支がある程度まとまって出る際には、ぜひ義務教育基金に積み立てを行ってほしいと考えます。この点いかがでしょうか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 実質収支の義務教育施設整備基金への積み立てということでございますが、先ほども御紹介いたしましたが、義務教育施設整備基金は当初予算において一定確保するとともに、教育施設の用地の売却等があった場合は、その収入を財源として基金への積み立てを行っているところでございます。学校の新築・改修経費などの経費につきましては、状況を把握しながら、必要がある場合などは決算の状況を踏まえた上で剰余金の義務教育施設整備基金への積み立ても考えているところでございます。
○小林(ぜ)委員 この項の最後ですけれども、8月中旬以降、景気の下押し感はあるものの、財政白書の特別区民税の推移、調整三税の動向、平成25年度・26年度、じりじりと国の経済対策の好影響があらわれてきていると感じています。好景気だから予算額を膨らませればよいというものではないと思いますし、私が心配しているのは、学校の改築・改修、今後提案される新たな10か年計画の年次予定では、平成30年、31年、32年あたりに一番小・中学校の改修、大規模改修が集中する時期と見えます。こういった状況をどのような考え方で財政フレームをつくっていこうとしているのか、また、基準となる一般財源672億円については堅持できるのでしょうか、伺います。
○黒田政策室副参事(予算担当) 基準となる一般財源は、経済動向による歳入規模だけでなく、さまざまな施策の制度改正等についても反映していくなど、外的要因を勘案することも必要であるというふうに考えております。672億円の基準は、消費税10%を考慮した子ども・子育て支援新制度の事業展開を考慮して設定したところでございまして、そのほか著しく状況が変わる要因がなければ変更することはないというふうに現在は考えております。今後、区においてはまちづくりや大規模改修・改築経費など、基金の積み立てや起債による計画的な対応が必要となる事項がめじろ押しであり、基準となる一般財源規模は、財務比率として今後も安定的な区政運営の維持を図るものとして維持していきたいというふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 健全な財政運営というのは大前提だと思うんですけれども、これから必ずしも、先ほども述べましたけれども、景気が安定していくとも限りませんし、そして、消費税10%になったときのこともさまざま考えますと、まだまだ工夫していかなければならない点もたくさんあるのではないかというふうに思っております。決算をもとに来年度についての動向などをよく見きわめて、新たな予算編成をお願いしたいと思います。
2番目に、学校・子育て・図書館行政についてお伺いいたします。
初めに、いじめ防止への取り組みと今後の対策についてお伺いいたします。
最初に、いじめの現状と取り組みについてお伺いします。今年上半期も全国の小・中学校で児童・生徒のいじめが原因の自殺者の報道がなされています。私の身近なところでもいじめが起きて、しかも、なかなかなくならない。私の知り合いでも、いじめを受けて本人がひきこもり、友人とも会えず深刻な、悲痛な状態になったお子さんもいらっしゃいます。また、御両親や兄弟、御家族もいじめにより心理的にも不安になり、進路にも先が見えず、いら立ちが大きく、本人だけでなく家族も悩み、家庭内にもさまざまな影響が出ています。非常に重大な事態だというふうに思っています。決してテレビですとか新聞報道の他人事とは思えません。今日いじめには、日々学校生活で嫌なことは、物を隠す、壊す、そういった嫌がらせによるものやネット上のものなども、さまざまな形であると思います。国では、中学生がいじめで自殺した問題で、いじめを教員が知っていたにもかかわらず、学校全体では解決に向けた手だてがとられなかったことを機に、いじめの防止対策推進法が2年前に施行されました。いじめの定義やいじめ防止に向けた国や自治体、そして、学校などの責任を明確にしました。学校には、保護者などと連携し、いじめ防止と早期発見、いじめ防止基本方針の策定、具体的に機能するよういじめ防止の組織設置を求め、いじめがあったときには教育委員会に報告することなどを義務付けました。また、重大な事態が起こった場合は、教育委員会が事実関係を明らかにすることとしています。
そこで、初めに、中野区のいじめの現状と取り組みについて何点かお伺いいたします。区は、小・中学校のいじめの現状について実態調査をするために毎年アンケートをとっています。各学校から教育委員会へのいじめの報告は直近でいつ行い、その件数は何件と報告されているのでしょうか。また、このアンケート調査は児童・生徒の全員にとっているのでしょうか。当日学校を休んでいた児童・生徒へはどのようにとったのでしょうか、お伺いいたします。
○杉山教育委員会事務局指導室長 平成26年度間に発生したいじめの件数は、小学校で141件、中学校71件でございます。直近では、平成27年6月に調査を行い、その結果、いじめの疑いも含めて小学校では25件、中学校では40件でございました。アンケートは原則として全員に行っておりますが、欠席者には別途登校した日、家庭訪問や別室での指導の際などにアンケートを配布して行ってございます。ほとんど出席できていない児童・生徒については、何らかの形でアンケートを渡しているところでございますが、回収できていないという例もございます。
○小林(ぜ)委員 今、回収できていない例もあるということでしたけども、回収できた結果、過去に報告があったと思いますけれども、比較してどのように分析しているのでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 各学校がアンケートをもとに聞き取り調査を行い、状況を把握した内容については、いじめの内容や学年の状況を比較しながら分析しているところでございます。これらの内容は、校長会や生活指導主任会などで報告してございます。
○小林(ぜ)委員 いじめ対策は、子ども文教委員会でも報告があったようですけれども、そのときには対応は学校に任せているとのことでした。各学校でどのように対応しているのか、行っているのかお伺いいたします。
○杉山教育委員会事務局指導室長 各学校では、いじめ防止基本方針を策定して、未然防止、早期発見、早期対応に努めているところでございます。いじめ防止のための授業や校内組織の設置、関係機関等々の連携を図っているところでございます。教育委員会としては、こうした各学校の取り組み状況について報告を受けて把握しているところでございます。いじめ防止のための取り組みとしては、例えば小学校では児童によるいじめ防止の標語をつくったり、中学校では生徒会によるいじめ防止ビデオの作成と放映などを行ったりしております。
○小林(ぜ)委員 次に、いじめ防止へ向けた今後の対策について伺います。中野区には、いじめに対処するとして中野区いじめ防止基本方針があります。また、「いじめ防止に向けて」の改訂版も発行されています。いじめは許される行為ではないとしていますけれども、現実的には区内の身近な小・中学校でもいじめを受け深刻な状況の児童・生徒がいます。2013年、いじめ防止対策推進法が施行されたことにより、いじめに遭っていると思われる人数や、明らかにけがや病気で休んでいる児童・生徒を除き、いじめが原因で長期に休んでいる児童・生徒の実数は把握されているのでしょうか。いじめに対して学校での対応はどのように変化してきているのでしょうか。具体的にお伺いいたします。
○杉山教育委員会事務局指導室長 長期欠席の児童・生徒は、2013年には小学校0名、中学校2名、2014年には小学校1名、中学校2名でございます。いじめ防止対策推進法により、学校はこれまで以上に校内で職員と管理職が組織的に対応できるよう力を入れるようになってまいりました。疑いがあるときの報告や複数の教員で対応するなど取り組んでございます。また、いじめの未然防止の指導の工夫に取り組んでいるところでございます。
○小林(ぜ)委員 この夏、岩手県の中学生の自殺事案を受けて、文科省は8月4日、夏休みに各学校の取り組みを点検するように求めました。中野区教育委員会は各学校へどのように点検を求めたのでしょうか、伺います。
○杉山教育委員会事務局指導室長 既に7月の校長会で、いじめも含めまして不登校児童等に対する配慮、それから、連絡等の徹底を依頼しているところでございます。8月には文部科学省の通知を受けて各学校に再度、長期休業日の終わりや授業再開の前後における指導の徹底を依頼いたしました。また、各教員に取り組み状況のアンケート調査を行い、学校からその報告を受けているところでございます。
○小林(ぜ)委員 学校での先生の気づきの実態は、内閣府による「子ども・若者白書」によりますと、学校がいじめを認知するきっかけは、アンケート調査など学校の取り組みにより発見、これが53.2%と最も多く、定期的に子どもから直接状況を聞く機会を実現するためにアンケート調査の一層の充実を図るとともに、個別面談や日記の活用などさらに必要な取り組みを充実させることが必要であるとして、いじめは常に起こっているものと考えられる、いじめは被害者も加害者も入れかわりながら進行している、このようにあります。担任は、授業や学務のほかに事務作業も多く非常に忙しい現状で、その中で大事な気づきまで十分に気が回っていないのではないかというふうに思います。先ほど話しました私の知り合いの方でも、生徒の一番近くで、本来は安心して何でも話せる、わかってもらえる担任の気づきが遅かったと思われるケースがありました。場合によって、いじめの現場を見ぬふりをする担任というか教師もいる。生徒にこんなことを言われていることは非常に悲しいことであります。担任は、授業や学務のほかに事務作業も多く非常に忙しい。そういったことはわかりますけれども、気づき、これについては十分に配慮していっていただきたい、見ていただきたいと思います。そこで、担任と管理職との垣根のない懇談などは気兼ねなく行われているのでしょうか、伺います。
中野区いじめ防止基本方針、「いじめ防止に向けて(改訂版)」にはその対処方法が細かく記載され、早期対応の取り組みが大事ともあります。しかし、身近で起こったいじめへの取り組みが人ごとのように感じられます。いじめ防止会議の開催内容、いじめ等対策支援会議など、学校では具体的にどのような防止策や改善策をとっているのでしょうか、お伺いいたします。
○杉山教育委員会事務局指導室長 まず、教育委員会におけるいじめ対策会議では、中野区におけるいじめの認知状況の報告や学校の対応等について報告し、それぞれの立場から御意見をいただいているところでございます。また、いじめ防止研修会を年2回開催し、各学校の取り組みの紹介や意見交換を行ったりしております。教員の児童・生徒に対するかかわりの大切さ等について確認を行っているところでございます。各学校では、学校独自のアンケート調査を行ったり、管理職、学級担任と連携してスクールカウンセラー等による面接を実施したりするなど、未然防止、早期発見に努めているところでございます。
○小林(ぜ)委員 いじめは中学校に入学してから起こることもありますけれども、小学校でその芽が起こっていることもあります。小学校から中学校へのいじめに関する連携はどのように行われているのでしょうか。また、日ごろから児童、生徒、保護者と担任との面談や家庭訪問などが大事と考えています。現場での担任、カウンセラー、管理職の具体的な役割、かかわり方はどのようにしているのでしょうか、伺います。
○杉山教育委員会事務局指導室長 必要に応じて、小学校で起こったいじめの状況については、その対応状況について小学校6年生の担任と中学校の教員とが年度末に引き継ぎを行い、継続して見守りや指導ができるように情報の共有化を図っているところでございます。また、担任やスクールカウンセラーなどがいじめに気づいたり、いじめの相談を受けたりした場合には、直ちに管理職とともに組織的な対応をするように努めているところでございます。
○小林(ぜ)委員 いじめに遭ったお子さんの中にはフリースクールなどへ通う児童・生徒さんがいます。長期不登校の児童・生徒さんへの学習支援などはどのように行っているのでしょうか。また、いじめなどが原因で不登校になってしまった児童・生徒は、いじめのあった学校へは勉強したくても精神的に足が向かず、学習面で著しくおくれています。そこで、授業として使える学校、単位がとれる学校を設けるべきではないでしょうか。あわせて伺います。
○杉山教育委員会事務局指導室長 学習支援につきましては、その児童・生徒の状況によりましてプリント学習などで対応できるよう連絡をとり合っているところでございます。また、不登校によりまして適応指導教室に通級している児童・生徒につきましては、通級した日数は出席日数としてカウントしてございます。新たな学校の設置につきましては、法的根拠も含めまして現在の状況では難しいというふうに考えてございます。
○小林(ぜ)委員 東京都では、先ごろ高校生にあるチャレンジスクールのような学校を小・中学校にもつくるという方針が打ち出されていますけれども、それを待つことなく先んじてぜひ中野区で進めていただきたいと思います。いじめによる不登校で塾へ通ったり、家庭教師をつけている家庭もあり、その費用負担が大きいと聞きます。費用を賄う補助はあるのでしょうか。明らかにいじめが原因の場合、学校へ登校したと同じような充実した学習支援を行うべきと考えますけども、いかがでしょうか、伺います。
○杉山教育委員会事務局指導室長 いじめの場合も含めまして、不登校の児童・生徒が通う塾等の費用につきましては、補助は行っておりません。適応指導教室の対応を充実させて対応していきたいというふうに考えております。
○小林(ぜ)委員 今、どちらかというと形式的なことをさまざま聞いてきましたけれども、仕組みですとか法ですとか、そういったことは整備されている。それにのっとって対応しているということでありますけれども、いじめは、いじめる側が100%悪いと考えています。また、今日ではさまざまな環境で育ったお子さんもいらっしゃる。そうした中には感情を抑えることができないお子さんもいらっしゃると思います。教師も大変な役割を担っていると思います。しかし、児童・生徒が楽しくて安心して通える場所である学校、しかも、本来傍らで寄り添ってくれると信じている担任が、あまりにも他人事の対応になっていることに愕然としています。書面でまとめているとか、対応しているとか、そうしたことを強調するあまり、本来の根本的な解決になっていない。言われたとおりにやっていますよ、そういった答えしか返ってこない学校の対応には憤りを感じています。中野区は、過去にいじめで自殺者を出してしまったといったことを考えると、いじめの原点の場所でもあると思います。そのときに御家族やかかわった方々、そして、教育委員会をはじめ行政がそのときの経験を中心に大きく据えて、中野区が全国の模範となる、心のこもった、気づきのある、寄り添いができる教育現場であってほしいな、学校であってほしいな、教室であってほしいなと思います。もっともっと現場に飛び込んで、心のこもった、面と向かっての寄り添いを深くお願いして、強く要望して、この項の質問を終わります。
次に、子育てについてお伺いいたします。
初めに、保育士の確保についてお伺いいたします。中野区においても待機児童対策を精力的に行っていることは評価でき、一層の充実を図ってもらいたいと考えております。その中で待機児対策を支える要素として保育士の確保が重要と考えます。第2回定例会でも我が会派の木村議員が質問しましたが、既存保育園において保育士の確保が困難になってきていると聞いています。そのため保育士確保に向けた支援策が必要と考えますが、そこで伺います。保育士確保の入り口となる就職説明会は、今年度どのように実施しているのでしょうか。
○古川子ども教育部、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 保育士の就職説明会のことでございます。今年度、この間の日曜日でございますが、9月13日に中野区独自でございます中野区私立保育園保育士合同就職説明会2015を開催したところでございます。今後、中野区とハローワーク、杉並区との共催で今月下旬と11月に2回、また説明会を実施する予定でございます。また、東京都のほうで主催する就職説明会、これも11月でございますが、協力区として今かかわってございまして、中野区からも私立保育園が参画する予定で準備を進めているところでございます。
○小林(ぜ)委員 次に、最近の報道ですけれども、保育士の家賃を補助する事業の取り組みが23区内でも広がっていると思われます。他区における状況をつかんでいるのでしょうか、お伺いいたします。
○古川子ども教育部、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 今年度、平成27年4月でこの保育士等の家賃の助成を実施している区は5区ほどというふうに把握しているところでございます。その後、検討等を行って、今年度途中に制度化している区もあるということを把握してございます。
○小林(ぜ)委員 今、他区の検討状況が進んでいるということでありまして、保育士を確保するに当たって中野区の私立保育園が見劣りすることのないよう、保育士の家賃補助をする制度については中野区も取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
○古川子ども教育部、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 現在、各保育施設にアンケート等を行ってございまして、保育士の確保の実態といったことを調査しているところでございます。また、各区の実施状況や課題の把握などの調査もあわせて行ってございまして、その政策効果などについて検討を進めているところでございます。
○小林(ぜ)委員 ぜひ実施を早めていただきたいというふうに思います。
次に、園庭のない保育施設への対応について伺います。昨年開所した区認可の小規模保育園施設からプール遊びについて苦慮しているとの声を聞きました。賃貸物件型保育園など園庭のない保育施設については、我が会派としてもこれまで近隣公園との連携等、遊び場の確保について質問を行ってまいりましたが、中でもプール遊びについては、衛生管理上の問題点や浄水場の問題、また、炎天下での移動など課題が多くあります。そこで伺います。夏休みの区立小・中学校の校庭の一部を利用することはできないでしょうか。学校などの事情も異なるため、最終的には園と学校の調整を図る必要があると思いますが、区として誘致を進めてきた保育施設の課題解決のため、各学校への協力を求めるべきではないでしょうか、伺います。
○古川子ども教育部、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 園庭のない保育施設による学校施設の利用に関しましては、個々の保育施設の状況に合わせまして園児の安全などに十分配慮しながら、その実現について学校等と調整を行っているところでございます。
○小林(ぜ)委員 中にはこの夏、暑い炎天下の中を、大人の足ですと10分もかからないようなところを、園児の足で30分近くもかかって歩いていって公園で遊ぶ。そういったケースがあったことも聞いております。ぜひこの辺の対応をお願いしたいと思います。
次に、図書館利用についてお伺いいたします。中野区内8図書館には、現在約97万冊に上る蔵書があると聞いていますが、平成26年度主要施策の成果(別冊)によると、平成26年度の貸出数は190万3,278冊と伺っています。1年間の貸出数に対して最終的に未返却となっている図書はどのくらいあるのでしょうか。また、期限までに返却されない図書の催促はどのように行っているのでしょうか、お伺いいたします。
○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 昨年度最終的に返却されなかった図書につきましては、977冊ほどございました。また、催促の件でございますが、返却予定日から数えまして3日返却がおくれた場合に、電子メール、電話、はがき等による督促を行っておりますほか、こういった連絡がとれない場合などには訪問督促を行っているということでございます。
○小林(ぜ)委員 催促に要する主な経費についてお伺いします。最終的に未返却の図書の冊数と被害額はどれくらいになるのでしょうか、伺います。
○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) まず、督促に要する主な経費ということでございますが、先ほど申しましたはがき等を送る切手代ということで約16万円弱かかってございます。このほか電話代等の通信費などにつきましても支出しているところでございます。返却の図書に相当する図書の購入額でございますが、約175万円ほどでございます。
○小林(ぜ)委員 返却要領を守らないことにより図書の貸し出しが円滑に行われなかったり、今もお聞きしましたけども、175万ほどの新たな図書を買ったと。まあ、同じものを買うのではなくて新たな図書ということになるとは思うんですけれども、多額の公費が支出されている現状があると思います。円滑な図書運営を図り、誰もが気持ちよく図書館を利用していただくためにも、窓口対応を含めて貸し出しの対応策を見直すなど、この際抜本的な改善の取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。
○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) ただいま申し上げました延滞者に対する督促につきまして、さらなる工夫を図るほか、返却期限の遵守を含む利用マナーの向上につきましても呼びかけに努めてまいりたいと考えてございます。また、現在当区におきましては、返却期限の翌日からその資料が返却されるまでの間、新規の貸し出しを停止するといった措置を講じているところでございます。今後、他自治体の取り組みなども参考にいたしまして、延滞の抑止につながるような効果的な対策につきましても検討してまいりたいと考えてございます。
○小林(ぜ)委員 多くの区民の皆さんが期日を守ってしっかりやれていると思います。しかしながら、そういった方々が借りたくても借りられない。少人数かもしれませんけれども返却期限を守らない。中には相当な長期にわたって返却されない図書もあるとも聞きます。しっかりとした対応をとっていただきたい。そして、こういったところで無駄な経費を支出しなくてもいいような取り組みをお願いしたいと思います。
この項の最後に、国立国会図書館の資料、デジタル資料化と一般的には言われているかもしれませんけれども、その閲覧についてお伺いいたします。国立国会図書館では、そこ以外では入手困難な137万点に及ぶ明治以降の貴重な資料や絶版になった書籍など、国立国会図書館の承認を受けた公立図書館で利用できるサービスを提供しています。そこで、この国立国会図書館デジタル資料送信サービスの閲覧等についてお伺いいたします。中野区では、昨年5月から中央図書館でこのサービスの運用が始まったとのことですけれども、利用状況はどのようになっているでしょうか、お伺いいたします。
○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 昨年度の利用件数でございますが、98件でございました。
○小林(ぜ)委員 非常に少ない。1週間に1件ぐらいでしょうか。本当に少ないなというふうに感じます。このサービスの存在を知らない方が非常に多いのではないかというふうに思います。貴重な資料もあるので、利用度もさらに上がるようPRを強化してはいかがでしょうか。また、区民が気軽に利用できる地域図書館、中央図書館以外の7館でもこのサービスが受けられるようにしてはいかがでしょうか、お伺いいたします。
○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 現在、図書館ホームページや利用案内等のパンフレットによりましてPRを行っているところでございます。ポスター・チラシなどによります周知など、さらに工夫してまいりたいと考えてございます。また、地域図書館8館でのサービス提供についてでございますが、区民ニーズや運営体制等、費用対効果も含めまして研究してまいりたいと考えてございます。
○小林(ぜ)委員 貴重な資料を手にとれる非常に大事な機会だと思いますので、ぜひ活用できるように中野区でも配慮をお願いしたい、実施をお願いしたいというふうに思います。
○若林委員長 [3]小林ぜんいち 委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。1時まで委員会を休憩いたします。
午前11時53分休憩
午後1時00分開議
○若林委員長 委員会を再開します。
休憩前に引き続き総括質疑を行います。[4]小林ぜんいち 委員、質疑をどうぞ。
○小林(ぜ)委員 午前中に引き続き質疑をさせていただきます。
午後はまず、中野のまちづくりについてから質問させていただきます。
初めに、国家戦略特区制度についてお伺いいたします。国家戦略特区につきましては、昨年第3回定例会で質疑をしました。そのとき中野区と豊島区、台東区が名乗りを上げていたようでしたが、その後各市からも提案があり、結果的に国や都の意向から東京都全域が指定されることとなったと聞いています。そこで、現在どのような状況になっているのかお伺いいたします。
○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 本年8月28日付で国家戦略特別区域を定める政令が公布・施行され、東京都全域が東京圏国家戦略特別区域となったところであります。
○小林(ぜ)委員 東京都全域が指定されたということでありますけども、他の地域との競争関係が薄れたのは否めないと感じています。昨年この場で提案しました、特区の指定をきっかけに多くのまちづくりの可能性は高まったのではないかと思います。この制度をうまく活用し、経済の活性化やグローバル化の推進に取り組んでほしいと思います。そこで、現在取り組んでいる中野区グローバル戦略推進協議会ですが、これは国家戦略特区をきっかけに発足したと聞いていますが、概要についてお伺いいたします。
○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 中野区グローバル戦略推進協議会は、産学公が一体となった産業、文化等の振興に関する連携のプラットホームを構築し、グローバルな視野で展開するビジネスの活性化や活動基盤の整備を図ることを目的としまして、本年2月に設立いたしました。区と区内経済団体による基幹団体に加えまして、企業、団体、大学等の3団体で構成して、現在は全体で54団体が名を連ねております。協議事項は、中野区におけるグローバルビジネス環境の整備拡充や国家戦略特別区域を活用した規制改革等に関することとしておりまして、現在は中野区グローバル都市戦略を検討しているところでございます。
○小林(ぜ)委員 今、グローバル戦略推進協議会の中でグローバル戦略を検討しているということでしたけれども、どのようなことを議論しているのでしょうか、お伺いいたします。
○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) グローバル戦略につきましては、グローバルな都市づくりの方向性ということで三つに整理して検討しております。一つは、都市再生を軸としたグローバルビジネス拠点の形成といったことでございまして、グローバルビジネス拠点として選ばれる都市づくりのあり方、これを議論しております。二つ目として、集客力と発信力のあるグローバルな都市活動基盤の構築といたしまして、中野区の活力の原点となるコンテンツや活動基盤の推進体制を議論しているところでございます。また、三つ目として、外国人にも暮らしやすい生活環境の整備ということで、職住近接の視点を持ちながら、区民にとっても外国人にとっても安全で快適な生活空間をどう整備していくか、このようなことが議論されております。
○小林(ぜ)委員 大きく挙げて三つの観点で議論されてございますけれども、それらの展開の中で国家戦略特区における規制緩和の活用についてはどのように捉えているんでしょうか、伺います。
○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 戦略の展開で必要に応じまして国家戦略特区で指定されている規制緩和のメニューの活用や、新たな提案を積極的に行っていきたいと考えております。
○小林(ぜ)委員 先日大田区蒲田のさかさ川地区で行われている「おいしい道計画」の視察に伺いました。これは特区の規制緩和メニューである国家戦略道路占用事業を活用して、歩行者天国のような形で飲食のイベントを行っているものでした。これは昨年申しましたエリアマネジメントの民間開放そのものであったと思います。こうした取り組みを特区になった中野区でも今こそ取り組むべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。
○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) エリアマネジメントの民間開放と言われております国家戦略道路占用事業の活用につきましては、その実施の可能性について検討しているところでございます。通常のイベントなどで行われます道路占用とは違いまして、この特区の事業ではエリアマネジメント組織による収益事業と公益への還元、こうしたことが求められるもので、そうした仕組みづくりが必要となっております。中野のまちの状況を踏まえてエリアマネジメントのあり方ですとか仕組みの構築などについて、区としての考え方をまとめた上で取り組むこととしたいと考えております。
○小林(ぜ)委員 中野でも取り組める場所がまず必要だと思うので、早目の検討をお願いしたいと思います。まちの魅力や環境を向上させるエリマネの手法は、もっともっと検討が必要かというふうに思います。
昨年質問しましたもう一つの国家戦略特区の規制緩和の中に、滞在施設の旅館業法の適用除外も挙げましたが、具体的にはどのような展開、状況にあるのでしょうか。中野の資源の一つにバックパッカー宿がありますが、展開の可能性があるのでしょうか、お伺いいたします。
○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 一般の空き部屋などを旅館業法の適用を除外して滞在施設とするには、事業者の認定、また、利用手続に関する条例化、こういったものが必要とされております。先行して特区に指定された区においてもさまざまな観点から検討がなされていると聞いております。2020年に向けてインバウンドが増加するというふうに言われておりまして、そうした社会情勢、また、周辺状況を捉えながら調査検討を行っていきたいと思っております。
○小林(ぜ)委員 非常にニーズがあるようですし、また、外国の方も注目している中野であるということですので、ぜひ展開ができたらというふうに思います。
グローバル戦略では昼間人口を目標にしているとのことですけれども、私は昼間人口をふやすことは大変大事だと思うんですけれども、さすがに難しいことであるのかなというふうに思います。そこで、中野らしさを出していく、中野に住むという固定的な人口よりも流動的な人口、通勤・通学の途中でおりてみたくなるまち・中野、休日にぜひ足を運ぶ、言ってみれば朝人口、夕方人口、休日人口といった来街者をふやしていくことに力を入れてはどうかと考えます。区役所・サンプラザ地区整備の構築パートナーの提案概要書が公表されましたが、見る限り建物の構成も、計画内容も、デザインも平坦で、中野らしさを生かした計画になっているとは見られず、品川や大崎などにも見られる駅前計画のようにも見えてしまいます。今定例会の一般質問の中でも大規模なアリーナが話題になっていましたけれども、朝人口、夕方人口、休日人口をふやし、中野らしさを打ち出していくにはアリーナなどについては有効かと思います。グローバル戦略の中で来街者をふやすこと、アリーナのような大規模な施設を整備することについてどのように議論されているのでしょうか、お伺いいたします。
○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 中野区グローバル戦略推進協議会におきまして、先ほど御答弁いたしましたとおり、集客力と発信力のあるグローバルな都市活動基盤の構築、こうしたことが意見として交わされております。中野のポテンシャルを引き出すには、コアとなる集客力のある施設やコンテンツが必要であって、それによって来街者が増加し、地域経済の活性化につながるストーリー、こうしたものを描いてはどうかといったことが議論されているところであります。このコアとなる集客施設として多目的に使えるアリーナの可能性、これが提示されているところでございます。
○小林(ぜ)委員 特区が東京全体になったことを前提にしますと、中野らしさ、中野のアイデンティティー、個性で差別化を図ることが重要と考えます。高さだけ日本一を争うような超高層、土台、ビルは必要ないと思います。駅前に、言ってみれば中野版スカイガーデンのような機能の集客会場、アリーナの可能性を検討してみるべきではないかというふうにも思います。
この項の最後に区長にお伺いいたします。少し大げさかもしれませんけれども、中野を地政学的に捉えてみたいと思います。今、東京における政治や経済の中心、重心は、山の手線を中心にした東部側の地域にあります。新宿より西側の地域は重心から大きく外れた位置にある印象を持ちます。しかし、そこに広がる生活圏は非常に大きなものがあります。ポテンシャルがふえていると思います。中野はその西部地域に伸びる影響力、発信力を持つべき場所と考えています。中央線沿線を軸とした経済や文化活動を繰り広げる東京西部中央線ゾーン、それから、東京オレンジラインプラン、中央線が通っていますので、そうしたプランとして新たな顔を中野区がリードして形成していく。こんな壮大な構想をしてもいいのかなと思っています。区長のお考えをお伺いいたします。
○田中区長 基本的に私も委員の御意見と同感の考えであります。今、羽田の国際化であるとか、リニア新幹線であるとか、湾岸、東側のほうに大変注目が集まりがちなのですが、そこだけに集中していくということでは東京全体のポテンシャルを引き出していくことはできないと思っております。中央線沿線から多摩にかけて、これは大変大きなポテンシャルを持った東京都の区域ということであります。その中心であります中央線を中心に、中野から中央線沿線にかけて一つの経済圏というようなものを発展させていくということが、東京全体の発展にとっても私は重要なのではないかというふうに思っております。東京の人口重心はおおよそ中野とか杉並とか、そういったところにあるわけでありまして、職住近接型のまちづくりというようなことを中野でも進めながら、さらに、中野と近接した文化圏にある、また、中央線という利便性の高い交通機関で結ばれている、そういった地域間の連携というものを今後模索していく必要があるのではないかと、こんなふうに思っております。
○小林(ぜ)委員 ありがとうございます。新たな中野をつくっていくときに、中野は全国各地、また、外国の方々も、中野といえばサンプラザだったり、ブロードウェイということをすぐ発想しますけれども、新たなまちをつくっていく、新たな顔をつくっていくときの考え方の一つに、区長もおっしゃったように、西側の地域ということについては大きな課題になってくるのではないかなというふうに私も考えます。新たな議論になってくるのではないかというふうに思っています。ぜひ新たな議論をお願いしたいと思います。
この項の最後に、ごみ屋敷の対策についてお伺いいたします。質問ががらっと、大きなところから小さなところへ移るんですけれども、住宅などからごみがあふれ、お隣のお宅や道路にまでちらかり、悪臭や害虫などに近隣の方々が悩まされているケースがあります。また、建物だけでなく、工事用仮設のパイプ、配管などを組み上げ、そこへごみを運ぶケースもあります。周辺では環境的にも影響の出る、いわゆるごみ屋敷があります。現在、ごみ屋敷は空き家とともに大きな生活環境の課題になっています。私の住む地域でもこうしたいわゆるごみ屋敷で火災が発生し、隣接した住宅やアパートに延焼した事案がありました。近隣住民の方々は、防火・防犯、環境の面に対して対応に日々苦慮しております。そこで、ごみ屋敷にかかわる苦情等を区として掌握した件数は何件あるのか、また、区へのごみ屋敷への苦情はどこの部署で受けているんでしょうか、お伺いいたします。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) いわゆるごみ屋敷の問題でございますけれども、そのケースによりまして原因者の事情とか近隣へ与えている影響が異なっているということから、それぞれの内容によりましてさまざまな部署が関与しているところでございます。臭気等生活環境上の問題が発端となりまして、生活環境分野環境公害担当が対応しているものは現在4件ほどでございます。
○小林(ぜ)委員 区でもさまざまな部署で対応しているということですけれども、各部署での連携はあるのでしょうか、お伺いいたします。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) これまでの例でございますと、建築担当や道路監察担当、それから、区民活動センター等と連携した案件がございます。場合によりましては、警察や消防とも連携をとっております。
○小林(ぜ)委員 連携をとりながらも撤去命令ですとか強制的な排除は、現状では困難なのかなという気がします。ごみ屋敷の対策の難しさはどこにあるのでしょうか、お伺いいたします。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) 空き家等対策の推進に関する特別措置法が施行されたことから、居住または使用されていない空き家等につきましては一定の対策が可能となったわけでございます。しかし、現に居住、使用されている建築物等については法律の対象外でございまして、法的根拠に基づいた対応ができないというところが難しさの根本にあると思っております。また、第三者からはごみに見えるものでも、御本人の財産権にかかわるものでございまして、私有地に入り込み強制排除する等は難しい状況にございます。さらに、御本人の障害や疾病等によりごみをため込む場合が多いことから、単にごみの除去だけでは解決に至らない場合があり、こうしたことも困難さの一つであると認識しております。
○小林(ぜ)委員 他区ではごみ屋敷対策の条例をつくっているところもあります。先週も世田谷区が条例のもととなる案を提案したというふうにも聞いております。各区はどのような内容で条例をつくっているのでしょうか、お伺いいたします。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) 現在のところ23区中7区において、いわゆるごみ屋敷対策を含む条例があると把握してございます。他区の条例におきますごみ屋敷に関する部分を見ますと、区による立入調査を行い、学識経験者による審議会等を設置し、意見を聞いた上で改善勧告、命令といった手続を踏み、どうしても当事者本人によって改善がなされない場合は、行政代執行を行うというものが代表的な内容であると認識しております。
○小林(ぜ)委員 他区では代執行のようなこともありましたけれども、中野区でもごみ屋敷問題を、最終的に強制力を持って解決できるような方策をつくるべきではないでしょうか、お伺いいたします。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) いわゆるごみ屋敷の問題は、今後も事象としては一定数発生すると思われます。強制力を持って排除するに当たっては、所有権と財産権、それから、公共の福祉等をどのように整合させるのかなど、クリアすべき課題も幾つかあると考えてございます。条例化による規制という方法も視野に入れつつ、慎重に検討してまいりたいと考えております。
○小林(ぜ)委員 空き家問題とともにごみ屋敷の問題も、近隣にとっては大きな大きな課題になっております。住まわれている方々、また、ごみを集められている方々の環境や精神的な部分、また、健康面もあると思いますけれども、さまざまな連携をとりながらこの解決に向けて当たっていくよう、今条例化というお話もありましたけれども、努力をしていただきたいと思います。
4番目に防災対策についてお伺いいたします。
初めに、避難所運営についてお伺いいたします。大地震が発生した折には、早期に避難所を開設するために避難所用資機材などを避難所敷地内に備蓄していることが大切と思われます。そこで、現在避難所の敷地内に避難所用資機材、備蓄品などを備蓄していない避難所はあるのでしょうか、お伺いいたします。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 現在、区内49カ所ある避難所の中で食料や生活用品など備蓄物資について敷地内に備蓄できていない避難所につきましては、明治大学附属中野中・高等学校、新渡戸学園、都立中野工業高校の3校でございます。
○小林(ぜ)委員 3校あるということで、大きな災害が起こっている中で敷地内に避難所用資機材を備蓄していない避難所には、誰がどのようにその運搬をするのでしょうか、お伺いいたします。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 大地震発生時は、区の災害対策本部の輸送班が災害時の協定を結んでいます東京都トラック協会中野支部から車両と運転手の提供を受けまして、近くの区の備蓄倉庫から必要な資機材を搬送するとしております。
○小林(ぜ)委員 避難所ではないところに備蓄品が置いてあって、そこから遠いところでは1キロ以上も離れているというところもあるようですので、その点クリアできるようにお願いしたいんですけれども、東日本大震災以降、学校再編に伴う避難所の数の変化をお伺いいたします。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 避難所の数の変化につきましては、東日本大震災以降50カ所から49カ所に減少してございます。内訳につきましては、旧中央中学校及び旧富士見中学校の校舎解体に伴いまして2カ所減っております。また、中野中学校の開設に伴いまして1増となりまして、現在合計49カ所でございます。
○小林(ぜ)委員 結果的にはマイナス1ということですけれども、中央二丁目にあります堀越学園が今現在耐震化のために改築工事を行っています。工事完了後、旧第九中学校跡地施設からもとの場所に戻る際、あそこは堀越学園と避難所として活用するための締結を検討していると聞きます。堀越学園と避難所締結にあわせた避難所の割り当ての見直しを行ってはいかがでしょうか、お伺いします。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 堀越学園につきましては、新校舎完成後、避難所の利用に関しまして協定を結ぶ予定でございます。新校舎の学校施設の避難所として利用範囲を確認して、その中で近隣の避難所も含めて割り当ての見直しを行う予定としております。
○小林(ぜ)委員 近隣もあわせて見直しを行うというお話もありましたけれども、極端に遠いところもありますし、また、近いところに別の避難所があるにもかかわらず、遠いところに行かなければならないという箇所もあるので、そういったことも含めての避難所の見直しを検討していただきたいと思います。そこで、避難所までの距離が遠くなりますと、高齢者や障害者をお持ちの御家庭の方々から、避難ができない、そういった声を私も聞いております。私は、以前からなるべく近くに避難所を確保すべきと提案してまいりました。避難所まで最も遠い地域は避難所からどれくらい離れているのでしょうか、お伺いします。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区の避難所につきましては、区立の小・中学校及び区内の都立高校、私立高校などを指定してございます。避難所の指定につきましては、防災会単位で指定しておりますが、現在の指定ですと最も遠い避難所は直線距離でおよそ1キロとなっております。
○小林(ぜ)委員 先ほどのエリアの見直しにも通じるところですけれども、1キロ歩いていく、相当な距離、時間になると思います。健常者であっても1キロ、10分、15分かかるところを、災害が起こったときに行く時間、まして高齢者であったり、障害を持たれる方々はそれ以上の時間がかかってしまうと、こんなふうに思いますので、エリアの見直しを再度お願いします。
私は、平成23年と24年に定例会で、民間マンションを地域の避難所や備蓄倉庫として活用することを提案してきました。避難所に限らず区の防災資機材の備蓄倉庫など、防災施設として協力が得られるように取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 避難所の備蓄倉庫につきましては、協定先の状況、学校再編など環境の変化がございます。また、区として備蓄物資の充実を図っておりますので、今後他区の取り組みも含めましてそういった確保について検討してまいりたいと考えております。
○小林(ぜ)委員 さまざまな時代の変化、そして、さまざまな住宅環境の変化、そして、避難所の変化があります。そうした中で常に一つのあり方ではなく、状況に応じて変化について対応していく。そして、避難所のあり方、備蓄倉庫のあり方についても検討していただきたいと思います。
次に、豪雨等による水害対策についてお伺いいたします。昨年も台風、ゲリラ豪雨のことについてお伺いしましたけれども、ことしも台風、ゲリラ豪雨の季節となりました。きょうも強い雨が降っております。先週まで毎日のように雨の降り続く日もあり、警戒の出た日には豪雨対策として職員の皆さんが泊まりがけで、厳戒態勢で当たっていただいたことも伺っております。そこで、平成26年第3回定例会決算特別委員会で質疑しました、東京都が設置している神田川の水位監視ライブカメラ映像の運用は今どのようになっているのかお伺いいたします。その後の状況についてお伺いします。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 東京都の神田川・妙正寺川水位監視カメラの映像が今年度から公開されました。区におきましても本年の6月15日から、区のホームページで監視カメラの映像のリンクを張って区民の方も閲覧できるようにしてございます。閲覧できる場所は、神田川と妙正寺川の橋の付近の映像でございます。
○小林(ぜ)委員 これがなかなか見にくくて、区のホームページで「くらし・手続き」、そして、「交通・道路・公園」、それから「河川」、「監視カメラ映像」と選んでいかないとたどり着けないんですよね。ほとんどどこにあるかわからなくて、私もやり方がわからなくなるたびに副参事にお聞きしているんですけれども、非常に見にくい、わかりにくいということで、東京都配信のためかと思いますけれども、当該ページのリンクをトップページや中野区防災・気象情報からすぐわかるようにと考えます。また、単にリンクを張るだけではなく、どの映像を閲覧できるかわかりやすい工夫も必要と考えますが、いかがお考えでしょうか。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区のホームページ、あと、中野区防災・気象情報のリンクの張りつけにつきましては、見づらい、わかりづらいという御意見が確かにございます。この点につきましては区の広報担当と、あと、ホームページの作成委託先と調整し、リンク場所、表現を含めまして区民の方にわかりやすい配置、表現について検討してまいります。
○小林(ぜ)委員 せっかく活用できる映像でもありますし、また、区民の方々がそれによって少しでも注意喚起であったり、安心ができる、そういったことへの対応を素早くしていっていただきたいというふうに思います。
次に、小型無人機ドローンの運用についてお伺いいたします。各地で小型無人機、いわゆるドローンによる事件・事故が報道されています。国では改正航空法が先日、9月4日に成立しました。そこで、中野区内でのイベント等の際、ドローンが使用されたり、事件や事故に至ったケースはあったのでしょうか、お伺いいたします。
○伊東都市基盤部副参事(生活安全担当) 区が主催しますイベント等での、実際ドローンが使用されたとかということにつきましては把握してございませんが、これまで事故ですとか事件が発生したという報告は受けてございません。
○小林(ぜ)委員 区としては今のところ報告がないようでありますけれども、区としてドローンによる危険回避のため今後は使用制限を行うとともに、一般社団法人日本ドローン協会が実施していますドローン操縦者の技術講習への参加を促す努力をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○伊東都市基盤部副参事(生活安全担当) 小型無人機の飛行可能空域や飛行方法等を盛り込んだ改正航空法につきましては、年内にも施行されるという情報を受けてございます。その内容でございますが、国が許可した場合を除きまして、人や住宅の密集している地域の上空は飛行禁止区域となってございます。また、飛行させる場合につきましては、これも国の承認を受けた場合を除きまして、人が多く集まるお祭り、イベント、そういった場所の上空以外の空域において飛行させるということとなってございます。したがいまして、区としまして使用制限を設けるべきかどうかにつきましては、この法律の趣旨ですとか規制の内容を踏まえて研究していきたいというふうに考えてございます。また、講習への参加でございますが、委員御紹介の一般社団法人日本ドローン協会、こちらでセミナーですとか講習を実施してございますが、定期的に開催しているというふうに聞いてございますので、問い合わせ等があった場合につきましては御案内をしていきたいというふうに考えてございます。
○小林(ぜ)委員 これから特に10月、11月、中野区でも毎週のように中野駅周辺、区役所周辺で各種イベントが行われてまいりますので、そういったときに、今日までは使用がなかったということのようでありますけれども、注意喚起をしていっていただきたいと思います。
ドローンは、カメラを搭載して上空から撮影できるため、高所カメラがない地域でも災害の状況を把握することが可能です。先日、茨城県の常総地域を中心に発生しました東日本大豪雨でも、国土交通省が河川の決壊やまちの被害状況を確認するために使用したというふうに聞いています。警察や消防でも防災訓練でドローンを使用して状況把握する訓練をしています。こうした大災害において早期に被害状況を把握するためにも、区はドローンを配備すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか、伺います。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 今月航空法改正案が成立いたしまして、ドローンの飛行ルールが定められました。具体的には、住宅密集地や夜間の飛行は原則禁止されましたが、災害時におきましては住宅密集地でも夜間でも飛行を認められております。今後、これを踏まえまして国のほうで災害時におけるドローンの運用指針について何かしら示されると思いますので、これを確認し、区としてドローンの活用について検討してまいりたいと考えております。
○小林(ぜ)委員 想定しない災害、いつ起こるかわからない災害、最初に聞きました避難所もそうでありますけれども、かといって過剰にお金をかけるということではありませんけれども、対応策を事前につくっておく。そうした災害に対する危機管理という意味でも、中野区でもドローンの装備を要望して、この項の質問を終わります。
その他で2点お伺いします。
まず1点目が、中野区産業振興推進機構についてお伺いいたします。区は、中野四季の都市エリアにおいて、中野セントラルパークの一部を借り受け、そのスペースの活用を担う事業共同体の参加事業者を公募しました。選定された事業者は一般社団法人中野区産業振興推進機構を設立し、中野区の産業振興拠点、愛称「ICTCO」を開設しました。ICTCOには、現在会員として個別に部屋を持ったプレミア会員が3社、それから、専用のデスクを持ったプラチナ会員が22社、月極めで共用デスクを持つゴールド会員が3社、スペースを使用せずサポートのみ受けるシルバー会員が10社、共用デスクを1日単位で利用できるブロンズ会員が22社活動しています。そこで伺います。この機構の設立当初の目的及び設立意義はどのようなものであったのでしょうか、伺います。
○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) 中野区産業振興推進機構は、区内におけるICTコンテンツ関連産業の集積、創出等を促進し、区内の産業振興を図ることを目的として設立されたものでございます。
○小林(ぜ)委員 中野区産業振興推進機構は、その設立の目的を達成するためにどのような事業を行っているのでしょうか。また、企業と大学の研究者及び行政との協働による産学公の連携についても取り組んでいると聞いていますが、その成果はどのようなものかお伺いいたします。
○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) 中野区産業振興推進機構の事業といたしましては、ICTコンテンツ事業者の活動拠点となり、事業者及び大学研究者などの相互連携により新たな事業を生み出すこと、また、新規事業の立ち上げや経営などに関するコンサルティングや専門的サポートなどを行うこと、それから、ICTコンテンツの活用に関する事業者や区民向けのセミナーなどを実施することなどが主な活動内容でございます。このうち産学公連携につきましては、新規事業を立ち上げようとする事業者のニーズに合った大学研究者を紹介するとともに、関係行政機関との調整を行い、これら産学公の連携による協働プロジェクトの事業化や公的資金の獲得などを支援してございます。
○小林(ぜ)委員 さまざまな活動を行っているといったお話がありましたけれども、それらの活動について事業開始及び今日まで年度別の実績についてお伺いいたします。
○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) 中野区産業振興推進機構の事業実績でございますが、設立年次の平成25年度につきましては、年度末時点の会員数が36社、会員間のマッチングによる事業協力が2件成約してございます。それから、支援を行ったことによる起業が2社でございます。それから、事業者や区民向けのセミナー・イベントの実施回数は5回でございました。昨年度、平成26年度でございますが、年度末時点の会員数は56社でございます。会員間マッチングによる事業協力が2件成約、支援による起業が2社でございます。それから、新たに協働プロジェクトを昨年度から開始してございます。この件数が6件でございまして、うち2件は公的資金の獲得を支援してございます。また、事業者や区民向けのセミナー・イベントの実施回数は24回でございました。今年度、平成27年度でございますが、8月1日時点の会員数が64社でございまして、会員の支援、それから、協働プロジェクト、各種セミナー・イベント等も引き続き推進しているところでございます。
○小林(ぜ)委員 ことしの11月でICTCOが開設されてから2年を迎えるところであります。会員事業者は順調に増加し、ここの事業活動だけでなく連携による相乗効果も生まれている。今のお話を聞くとそういうふうにも見えるんですけれども、これまでの活動に対する評価と今後の事業の見通しについてどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) ICTCO内の事業スペースを占用する会員企業につきましては、既に定員がいっぱいになっている状況でございます。事業者相互及び大学研究者との連携により新たなプロジェクトが創出されてございます。また、区内経済団体や大学研究者及び区などとの協働により、区民や区内事業者にも有益なセミナーやイベントなども実施してございまして、民間のノウハウとネットワークにより区内の産業振興に一定の効果をもたらしていると考えております。平成27年度からは機構の活動に賛同する個人または団体のための賛助会員制度を創設いたしました。また、新規プロジェクトの創出をより促進するために、ビジネスのアイデアを公募して起業までを支援する起業支援プログラムを開始いたしまして、新たに4件のプロジェクトの事業化を支援しているところでございます。今後とも新たなプロジェクトの創出と事業化を推進し、その中から中野区における成功モデルとなるような新規事業が生み出され、区内経済の活性化にますます寄与することを期待しているものでございます。
○小林(ぜ)委員 中野区の予算が充てられていて、なかなか見えない事業であり、そして、結果としてもなかなか具体的な反応が見えてこない事業であります。この夏に伺ったときには多くのブースで、スペースで多くの方々が活動されておりましたけれども、1年で効果が出るということはないのかもわかりませんけれども、新たな事業展開に区としてもう少し厳しく目を向けていければいいのではないかなというふうに思います。以上でこの質問を終わります。
最後に、中野ZEROホール西館の昇降機設備についてお伺いいたします。中野ZERO西館小ホール部分には専用の昇降機がないため、高齢者や障害をお持ちの方から利用しにくいとの声をいただきます。中野ZERO西館では、来年度、平成28年度には大規模改修が行われる予定になっております。区は、今回の改修後はしばらくこのような大きな改修は行わないと思っております。今回の改修にあわせて高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進、バリアフリー、ユニバーサルデザインの観点からも小ホールの施設内に昇降機の設置を行うべきと提案してまいりました。そこで伺います。設置可能性がないか調査検討をするということでしたけれども、現在どのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。
○宮﨑経営室副参事(施設担当) 今年度中野ZERO西館の大規模改修工事の設計業務委託にあわせて、昇降機の設置の可能性について検討を進めているところでございます。
○小林(ぜ)委員 検討を進めているということでありますけれども、昇降機設備の設置の可能性はあるんでしょうか。ある場合、どのような形で設置が可能になるんでしょうか、伺います。最後にします。
○宮﨑経営室副参事(施設担当) 現在検討中でございます。屋外の設置につきましては、日影の規制で既存不適格となり、設置できないことがわかっております。そこで、その他の部分で確認してみましたところ、北側の玄関を入り、左手の1階玄関ホールから2階ロビーに至るエレベーターであれば設置の可能性があると考えております。
○小林(ぜ)委員 エレベーターであれば設置ができるということでありまして、高齢者の方々、そして、中野区では、例えば友愛クラブの皆さんですとか町会の皆さんが利用する折にも、高齢者の多い中で階段を何段も何段も上がりながらホールに行くのではなく、少なくとも今ありましたロビーまではエレベーターでぜひ行けるように設置を検討していただきたいと思います。設置に当たっては、多分ピットについては地下にも影響することでしょうし、オーバーヘッドについては小ホールの階段、施設の部分にも影響があるのかなというふうには考えますけれども、さまざまなタイプのエレベーターもありますし、そして、手法もあると思いますので、ぜひその辺の検討をしっかりしながら設置に向けて具体的に進んでいっていただきたいと思います。
以上要望しまして、私の全ての質問を終了いたします。
○若林委員長 以上で[5]小林ぜんいち 委員の質疑を終了します。