公明党 中野区議会議員 小林ぜんいち 確かな政策!抜群の実現力!

議会発言

令和2年(2020年)第1回定例会 予算特別委員会 総括質疑

1.令和2年度の予算について
 初めに1番、令和2年度の予算について、(1)として、財政運営の考え方についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染が世界的な大問題となり、日本でも発症者、お亡くなりになられた方々が出るなど、深刻な状況になってきています。お見舞いを申し上げます。
 政府は、昨夜、新型コロナウイルス感染対策の基本方針を発表しました。区内でも地域行事の中止や、区民生活、そして地域経済にも多くの影響が見られ始めています。
財政運営を考えるに当たり、基準となる一般財源規模は、将来にわたって持続可能な区政運営を行う上で、極めて重要な財政規律の基になるものと考えます。単なる単年度の収入見込みでなく、政策的な財政支出のベースラインを決めるものである以上、中長期の手堅い予測に基づいて策定されるべきものだと思います。この財源規模を課題に見れば、一般財源充当の経常事業が上回り、財政不安の原因となるとも考えます。
 昨年8月の総務委員会に報告された資料、中野区基本構想審議会の検討状況についてを見返してみますと、基本構想を検討する資料として、10年後の令和11年に新規事業が57億円と、令和元年と比較すると、半減する数値が示されています。令和2年度予算案で、基本構想や基本計画の議論も定まらないうちから、各種の個別、分野計画について、調査検討のコンサルタント委託が多数見込まれています。財政的に何の責任もないコンサルのつくる計画は、区政全体の長期的な展望や政策的な整合性には配慮されていないと考えます。令和2年度、今回の予算編成は、何をもって編成されているのでしょうか。
 当初予算案の概要によると、令和2年度においても、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)の行財政運営の基本方針に基づき、区の歳入状況から、基準となる一般財源規模を定め、これを歳出の基準として、将来の安定的な財政運営を見据えて編成したと。一方、まだ策定されていない新しい基本構想及び基本計画が形になっていない現段階で、今後の財政運営手法については、令和2年度は新しい基本構想及び基本計画が形になっていく年です、新しい基本構想で描く中野のまちの実現に向けて新しい基本計画の取組を着実に進めていくため、これまでの財政運営手法を検証し、持続可能な区政運営に向けた考え方について、新しい基本計画において明らかにしたいと考えているとあります。これは基本構想の素案の中で示されている、最少の経費で最大の効果を上げる持続可能な財政運営の考え方になっているのでしょうか。整合性がないように思います。
 新しい基本構想及び基本計画が未策定の段階で、本予算は、基本姿勢は何をもって積み上げているのでしょうか、伺います。
〇森財政課長 令和2年度予算編成に当たっての積算の根拠というか、考え方でございますが、中野区の新たな区政運営方針におきまして、新しい基本構想等を策定するまでの間の区政への基本的な考え方というのを方針のほうで示しているということでございます。
 その中で、新しい基本構想等が策定されるまでの間の財政運営については、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)の行財政運営の基本方針を継承し、財務規律を明確にした運営を行うとしておりまして、これにのっとった形で予算編成に取り組んだところでございます。
〇小林委員 10か年計画を基にというんですけれども、あまりにもその思想とはかけ離れているのかなというふうに思います。
 基金の残高があるから心配ないという考え方は取れないし、そして歳入の年度間調整に対応できる基金は財政調整基金です。特定目的基金は、20年、30年先を見通して、安定的に区民の生活基盤やサービスを守り、向上するための蓄えであり、慎重かつ着実な基金の運用が求められています。概要の基金残高の推計から、主な基金の積立て、繰入れ計画の残高合計を差し引くと、令和3年度には162億円、令和5年度には43億円、そして令和6年度には基金と起債が逆転し、マイナス73億円となります。起債残高は726億円と非常に大きくなっています。これを負担する世代間負担の公平化、実質負担増をどのようにお考えでしょうか、伺います。
〇森財政課長 世代間負担の公平化につきましては、公共施設等について長期にわたって使用をしていくものでございまして、その施設等により便益を受けることとなる将来世代と現役世代との間の負担の公平化を図るというものでございまして、起債がその目的、役割を一定果たしているというところでございます。
 区におきましては、起債発行に当たっては、公債費が区民サービスに影響を及ぼさないように、公債費負担比率をおおむね10%以内で運用をすることとしておりまして、適切な財政運営を進めているところでございますし、また今後もそのように取り組んでいく考えでございます。
〇小林委員 聞かれれば、そう答えざるを得ないというふうに思うんですけども。今の状況って、すごく危うい話を私は先ほどしたつもりなんですけども、これでは財政規模をいたずらに膨らませた結果、最終的に財政破綻寸前の状態となった20年前の某区政と一緒になってしまうと思います。
 新型コロナウイルスによる世界規模の社会的混乱やリーマンショック以来の経済危機が発生するといった、持続可能性を視野に入れたとき、2年度の予算案を、歳入は本当に大丈夫なのでしょうか、議論は尽くされていたのでしょうか、伺います。
〇森財政課長 新型コロナウイルスも含め、また海外の経済状況等、社会情勢は区の財政に大きく影響するものと認識をしております。国の動向、また社会情勢による歳入の変動についても、当然、最大限注視していく、そういうことが必要と考えておりまして、それに応じた形でしっかり対応し、安定した財政運営に努めていきたいと考えております。
〇小林委員 当初予算を作成したとき、また概要を策定したときから比べると、今の中野区の情勢も大きく変わってきていると思います。そうした中で、議論が十分尽くされて、この概要が作成されたというふうには私は思っていないです。
 一般財政ベースの財政フレームを見ると、令和6年には、歳入では、特別区税、特別区交付金は現在とあまり変わりませんけれども、特別区債は伸びる一方で、歳出で義務的経費、特に公債費と新規・拡充、基金積立ても大きく伸びています。令和7年、2025年には、教育のほかに、子育てのほかに、医療、介護などの社会保障費の増大が見込まれ、区の財政負担は増すことは避けられないと思います。
 こうした財政計画で、公債費負担比率、先ほどおっしゃっていましたけれども、10%以下に抑えていこうとしても、財政全体の歳入歳出、事業内容を見るとき、本当に将来にわたってできるのでしょうか。10%以下に抑えていくことができるんでしょうか。事業などを考えたときに、お伺いします。
〇森財政課長 今後、社会経済状況の大きな環境変化があった場合でも、財政規律として一つ定めております公債費負担比率をおおむね10%以内に維持するということは必要だと考えております。
 将来の財政見通しもしっかり踏まえながら、その考えに沿った形、その考えに沿った取組を財政運営の手法も含めて、基本計画の中で定めていく考えでございます。
〇小林委員 財政的な見通しも顧みずに、様々な計画を動かして、財政規模をいたずらに膨らませた結果、先ほど言いましたけれども、最終的に財政破綻寸前の状態となった20年前の中野区政の再現にほかならない。20年前のようなことが起こっていかないとした見通しは、きちっとした根拠はあるんでしょうか、保証はあるんでしょうか、伺います。
〇森財政課長 中長期的な財政見通しを踏まえまして、基本構想・基本計画を策定していくとともに、これまでの財政運営手法を検証しまして、持続可能な行政運営の考え方を定め、必要な改善を行って、かつてのような形にならないように、財政規律の徹底を図っていく考えでございます。
〇小林委員 大事なことは、計画的な積立てと、どの事業を行い、何を切り詰めていくのか。スクラップ・アンド・ビルドというふうに区ではおっしゃっていますけど、これを反映させることが大事な今時期というふうに考えています。
 基本計画は、財政的な裏づけが示され、持続可能性を十分検証しながらつくっていくべきものであり、その上で、その計画を前提として、各種の分野計画の検討が進められるべきである。基本計画を縛るような個別計画の策定、先につくってしまうことによって基本計画を縛るような個別計画の策定が多数見込まれた予算案には納得できない点が多いと考えています。
 (2)の基本構想・基本計画等の作成については、総務分科会のほうでさせていただきたいと思います。
 (3)その他で、初めに、自治基本条例の再生についてお伺いいたします。
 区長は、平成30年6月、第2回定例会の施政方針説明で、中野区は自治基本条例を制定し、区民の区政への参加の権利を保障し、参加の仕組みをつくってきましたと述べ、公約などでも、区民参加の在り方、区のトップの姿勢について問い、有名無実化してしまった自治基本条例の再生を目指して、区民参加による自治基本条例再生会議を設置しますと言われています。自治基本条例は、区の憲法と言われるほど重要な議決事項であると考えます。
 初めに、再生を目指した区民参加による自治基本条例再生会議の設置の状況の進捗状況を教えていただけますでしょうか。
〇杉本企画課長 区民の区政への参加の権利を保障し、対話と参加の区政を実現するために、これまでタウンミーティングや子育てカフェ、基本計画策定における概要段階での意見交換、予算編成過程の公開などの運用面での工夫に取り組んでいるところでございます。
 こうした取組を踏まえまして、区民参加による会議におきまして、自治基本条例の改正が必要かどうかを含めた議論をしていただきたいというふうに考えてございます。会議の開催時期、検討内容等につきましては、基本計画の策定過程を踏まえ、今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。
〇小林委員 いやいや、取り組むんじゃなかったんですか。これからって、話が違うなっていうふうに思うんですけれども。
 そもそも自治基本条例については、どのような位置付けを考えていたんでしょうか。
〇杉本企画課長 自治基本条例は、中野区の自治の原則や区政運営の基本となる事項を定めていることから、他の条例、規則等の制定、改廃に当たっては、自治基本条例の趣旨を尊重し、整合性を図るものと位置付けているものでございます。
〇小林委員 区長は、自治基本条例の再生を目指して、区民参加による自治基本条例再生会議を設置しますというふうに言っているんですよ。だからこれを基にして、今ある自治基本条例をじゃなくて、新しいもの、再生会議をつくってやっていきますよって言っているんですよ。本来、自治基本条例の再生を行い、その上で中野区基本構想を策定し、その上で中野区基本計画の策定を行っていく。自治基本条例、そして基本構想があって基本計画、そして各部各課からの事業構想、分野計画が定まっていくものではないでしょうか。
 自治基本条例と中野区基本構想・基本計画等の整合性をどのようにお考えでしょうか、伺います。
 要するに、今、一連にして、一緒にやっていくという話が出ていますけれども、本来は別々のものである。別々って言い方が誤解されるといけませんけれども、それぞれがきちんと上位からなってきて――さっき、若林委員も言っていましたかね。そうしたものが出来上がっていく中で、一つひとつの計画が実行されていく。それが自治基本条例を再生していくということを考えたときに、この整合性、どのように考えますか。
〇杉本企画課長 現在検討中の基本構想・基本計画につきましては、策定過程における区民参加を確保するため、タウンミーティングの実施など、運用面の工夫をしているところでございます。
 自治基本条例の改正の必要性ですとか、具体的な区民参加の在り方の具体的手法等につきましては、今後設置する会議で議論していただき、区としての考えをまとめていく考えでございます。
 検討の結果、自治基本条例と今後策定する基本構想・基本計画との整合を図る必要がある場合には、必要な手続を検討してまいりたいというふうに考えてございます。
〇小林委員 いや、ちょっとかみ合っていないんですけど、再生会議を設置しますと、再生を目指して設置していきます――いえいえ、タウンミーティングなど、やっていくからいいでしょうという話ではなくて、そして、これから必要があるかないか、やってみて考えますというのは、そもそも出だしが違っているんじゃないの。基本構想・基本計画をつくるんだったら、自治基本条例を一番最初に取りかからなくちゃいけなかったんじゃないのというふうに私は考えています。整合性を求めて、この項の質問を終わります。
 もう一点、別な角度からお伺いいたします。
 SDGsの視点に関わる予算についてお伺いします。
 区長は、施政方針説明で、2015年の国連サミットで、持続可能な開発目標として採択されたSDGsは、2030年までに達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されておりと、SDGsについてはほんの少し触れています。
 SDGsには、貧困、飢餓、保健衛生、教育、また地球温暖化、生物多様性、持続可能なまちづくり、雇用と経済成長、クリーンなエネルギーなど、区としても率先して取り組むべき目標が多数含まれています。
 基本構想で、10年後に目指す姿として、誰一人取り残されることのないというのであれば、SDGsの視点、言うなれば、今一番大事なバックキャスト、未来のあるべき形から今やるべきことを考えることをもっと明確に示し、力強い事業の予算化があってよかったと考えます。いかがお考えでしょうか、伺います。
〇森財政課長 基本構想・基本計画の策定におきましては、SDGsの視点を踏まえながら検討しているところでありまして、パートナーシップによる目標の達成など、SDGsの大きな理念に沿った内容とする予定でございます。
 今後、新しい基本構想で描くまちの姿の実現に向けまして、基本計画の取組を具体化していくことに併せまして、必要な予算化につきましても検討していきたいと考えております。
〇小林委員 なぜSDGsかといいますと、2030年までの目標なんですね。今、2020年。この10年間なんです。2025年という大きな課題がある。それから5年後の30年。そして、その先には2045年とか50年とか、いろんな課題がある。今一番大事な、私たちの生活に及ぼす岐路に立っているんです。なので、SDGsが一番私たちが身をもって感じ、そしてそれを私たちの区政の中に生かしていかなきゃならないと考えているからであります。表題だけで終わらないように求めます。
 次に、施設マネジメント事業についてお伺いいたします。
 施設マネジメントは、今後、廃止する施設をどのように利用し、新設する施設をどのように整備していくのか。区の財政運営と区有財産全体を視野に入れて、具体的に決めていくアセットマネジメントだと思います。区有施設は、政策の現れであり、具体的な政策展開が明確にならなければ、必要な施設も不要な施設も決まらないと思います。政策展開を基本構想に基づいてどのようにお考えでしょうか、伺います。
〇杉本企画課長 区有施設配置につきましては、基本構想及び基本計画において検討しております政策体系と整合を図るものと考えてございまして、こうした考えに基づきまして、今後5年間の具体的な施設の新設、更新の内容や、今後10年間の施設整備の方向性などを施設整備計画としてまとめていきたいと考えてございます。
〇小林委員 政治的な判断で、前提がころころ変わってしまうものがあります。例えば、新児童館など、施設の考え方も規模感も決まっていない施設も多くあります。その時々の政策判断で、施設の在り方や使い方が変化することは止めようがありません。施設の規模や配置だけ固定して、全てその範囲で賄うというのも難しいと考えます。少なくとも基本計画も定まっていない段階で、どこまで計画ができるか、疑問があります。そのような検討をどうコンサルタントにさせるのでしょうか、伺います。
〇杉本企画課長 施設配置計画と策定支援業務委託におきましては、区職員が作成する計画案に基づきまして、跡地活用における建築可能規模の精査や、区が作成する計画案に関する冊子作成検討資料の情報収集などにつきまして、専門的な知見を有する事業者から支援を受けることを考えているものでございます。
〇小林委員 もうできていて、それを示す、その上で、何と何をコンサルにというのなら分かりますけども、まだ示されてもいない中で、来年度、コンサルにやってもらいます、それってないんじゃないの。今おっしゃったような基礎的なことは、職員でみんなできるはずですよね。職員、優秀な方々いっぱいいらっしゃるんだから。何かで忙しいとか、こっちがということではなくて、これまでの1年間の中で、少なくともできてきたはずですし、そうしたことを施設マネジメントとしてきちっと、コンサルに委託していくんであれば、そのベースができていなければならない。それも議会側には報告がない中で行っていく。これからやりますって言ったら、コンサルに委託するときには、来年の今頃になっちゃうんじゃないのというふうにも思うわけです。
 施設の廃止や新設など、区の財産運営を区有財産全体を視野に入れたアセットマネジメントを要望して、この項の質問を終わります。

2.教育施設整備について
 2番目に、教育施設整備について。初めに学校施設整備についてお伺いいたします。
 区は、学校の建て替えの財源について、起債するとのことですが、私はできる限り基金で対応すべきと考えています。起債する理由について、世代間の負担の公平化、さっきも挙げましたけれども、理由に挙げていますが、区が起債するということは、これから30年以上も続く建て替えの中で、それを支える世代、プラス、その後の世代は、当該年度の一般財源と利子分を含む後年度の公債費を負担することになると考えます。前世代の多くの人や現世代、これまでの人たちや私たちは、既にある学校を使うだけで、これまで学校建設経費をほとんど負担してきていません。都区財政調整制度では、施設建設費の償却は、一律50年で需要額算定されていると聞きます。本来、施設の更新費用は、基金の積立てや資産活用で基本的な部分を賄うべきではないでしょうか、伺います。
〇森財政課長 平成30年度から中野区立小・中学校再編計画(第2次)に基づきまして、学校施設の建て替えが本格的に進められているところでございます。令和2年度、来年度以降、5年間の歳出事業費ベースでは約500億円が予定されておりまして、財政負担が大きなものとなるものでございます。
 区民サービスを停滞させることなく事業を進めるために、基金と起債を計画的にバランスよく活用し、後年度に大きな影響を及ぼさないように取り組んでいくことが必要だと考えているところでございます。
〇小林委員 後年度に影響を及ぼさないと言いながらも、公債費、負担比率の10%の中で抑えていくと言いながらも、最大になっていく、そうした状況をどのように本当に考えているのかな。起債を起こしていく、安易に起債を起こしていくということに対する懸念を払拭できないのは私だけでしょうか。
 今後、高齢化の進行で、医療、介護、福祉など固定的な経費は膨らみ続けます。また、満足度を追求する子育て先進区も、お金はかかることは目に見えています。少子化に伴い、負担する就労人口は減り、高齢者の割合が増えれば、担税力も下がっていきます。将来の世代は、現世代のケアのための経費も新たに増え、子育て支援の経費も負担する、学校の建て替え経費も負担させられる、これは世代間の負担の不公平化ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか、伺います。
〇森財政課長 先ほどの御答弁と少し重なるところもございますが、公共施設等は長期にわたって使用するものでございまして、その施設等により便益を受けることとなる将来世代と現世代との間の負担の公平化を図るという世代間負担の公平化、この役割、目的を起債が果たしているところでございまして、起債につきましては、公債費負担比率10%の範囲に収まるような形で、慎重に進めるとともに、基金についても適切に活用していきたいと考えているところでございます。
〇小林委員 私たちはこれまで経験していないんですよね、世代間の負担、公平化ということについて。だからここで言っているんです。これまでの私たちは、つくることについて負担をしてなかった。しかしながら、今現在、行われている新たな施設には、これまでの計画と違って、起債を起こしていくということになると、その分も負担もこれから先に増えていく。今言いましたように、少子高齢化になり、就労人口は減り、そして高齢化が進んでいく。そうした中で私たちは、これからの世代は、子や孫の世代のことですけれども、税に転嫁されてまで、子育て世代は子どもの代までこんな中野に住み続けていきたいでしょうか。今さえよければよいのではということはないのではないでしょうか。学校建て替えのように、30年以上先まで需要が見えている経費、負担の先送りは避けるべきと考えます。
 区長は、公約で、基金の使い道は区民参加で決めますとしています。学校建設に関わる義務教育施設整備基金も、区民参加で決めたのでしょうか、伺います。
〇森財政課長 基金の活用も含め、財政一般につきましては、広く区民の意見を聞き、予算編成を進めていく必要があると、そう捉えておりまして、また予算編成過程の公表もしているところでございます。
 起債活用や基金活用につきましては、今後検討していきます、策定していきます基本計画の中で、財政運営の考え方を示していくということでございますので、その策定過程においても、区民の意見を聞きながら進めていきたいと考えております。
〇小林委員 広く一般、区民の皆さんに聞いたと言うけど、私、聞かれていないなというふうに思っているんですけど。特定目的基金の現在高では足りないとしても、規律ある財政運営を行えば、毎年度、3から5%の収支差額が残っていく。そして基金の積立原資に回ります。利子を払う、借金である起債と、利息がつく基金の活用を比べれば、起債先行で利子分をプラスして負担するより、利子分の負担のない基金を計画的に積立て、そこから繰入れを先行するほうがよいと考えますが、いかがお考えでしょうか。
〇森財政課長 繰り返しになるところもございますが、一時的に多額の費用を必要とする施設建設などについては、財政負担の平準化と世代間負担の公平化を図る観点から、起債を活用する考えでございます。
 起債発行につきましては、公債費が区民サービスに影響を及ぼさないよう、慎重に取り扱いまして、公債費負担比率おおむね10%以内で運用することといたしまして、起債と基金をバランスよく活用して、適切な財政運営に努めていきたいと考えております。
〇小林委員 さっき言いましたけど、令和6年には、起債残高は726億円になる計画が示されているわけですよね。700億ですよ。700億の借金を抱えた中野区の状況って、今じゃないんですよ。20年前なんですよ。これまで私たちはどんな区政に対する思いがあったのかということは、それを見ずとも分かると思います。学校の建て替え終了と同時に、建て替えのための区民の負担は終わらせることができる、これが将来の人口減少時代に向けた備えではないでしょうか。
 先ほども述べましたが、様々な計画を動かし、財政規模をいたずらに膨らませた結果、最終的に財政破綻寸前の状態となった20年前の某区政の再現にほかならなく、これを取り戻すために区民には大きな負担を強いることになりました。書いてありましたけど、今の答弁を聞いて、同じことを今言ってしまいました。
 基本計画は、財政的な裏づけが示され、持続可能性を十分検証しながらつくっていくべきものであり、その上で、その計画を前提として各種の分野計画の検討が進められるべきであると考えます。学校施設についても、財政的負担軽減を求め、次の質問に移ります。
 次に、平和の森小学校の移転、供用開始についてお伺いします。
 1月31日の総務委員会で、旧法務省矯正管区敷地の取扱いについて報告がありました。報告では、旧法務省矯正管区敷地の取扱いについては、区は、令和元年度予算に用地特別会計で購入する――中野区へ売却予定となっていましたが、コンクリート等の瓦礫類が出土したため、掘削調査の本調査を令和2年1月まで実施することになり、売買契約の締結が困難になったとのことでした。
 財務省から通知文、普通財産の処分価格等の明確化に係る手続については、いつ届いたのでしょうか、伺います。
〇吉沢用地経理課長 平成30年9月18日付、財務省理財局通達の普通財産の処分価格等の明確化に係る手続についてに基づき、関東財務局が地下埋設物等の試掘調査、いわゆるボーリング調査をしたところ、コンクリート等の瓦礫類が出土したため、その報告が昨年7月25日にありました。その後の、昨年10月から本年1月にかけまして、同じく関東財務局におきまして、掘削調査、本調査を行い、その結果、地下埋設物等の撤去対策費用の見積額が3,000万円以上になるということが見込まれたため、その撤去対策費用及び不動産鑑定価格につきまして、財務本省による第三者チェックが実施されることということになったものであります。
〇小林委員 たしか購入契約は、令和3年4月以降になるようですけれども、平成31年度予算に計上され、補正減額された約100億円余については、次回はいつ予算化される予定でしょうか。
〇吉沢用地経理課長 現状では、売買契約締結を令和3年4月以降に予定させていただいているため、用地購入経費につきましては、令和3年度当初予算に計上する予定であります。
 ただし、売買契約締結が早まるようでありましたら、令和2年度中の補正予算での対応とさせていただきたいと考えております。
〇小林委員 私は、昨年のこの予算特別委員会総括質疑の中で、売買契約をされるという予定になっている敷地、学校用地、そして都市計画道路というか、避難道路、そしてまちづくり用地ということで、三つの種類の敷地があることについてお聞きしました。
 その確認ですけれども、地区施設道路が学校敷地内の間に挟まれる形で購入することでしたけれども、そのことの変更はありませんか。
〇吉沢用地経理課長 委員御紹介のとおり、変更はございません。区は財務省に対しまして、平成30年8月に取得要望を行いましたが、昨年6月の国有財産関東地方審議会への諮問を経まして、中野区が売却処分の相手方ということで決定をされたところでございます。
〇小林委員 今回の用地取得の遅れで、今後どのような形で購入することになるのでしょうか。
〇吉沢用地経理課長 こちらも特に変更はございません。区は、財務省から公共用途に供する一団の土地としまして、用地特別会計で購入するものであります。取得した後、事業化する際に、各所管におきまして、事業に合わせて一般会計で買い取るということになるものでございます。
〇小林委員 分かりました。きちっとした買取りができることを望むところです。
 旧法務省矯正管区敷地には、旧中野刑務所の表門があります。表門のこれまでの経緯、現在の状況、取扱いについてお伺いいたします。
〇藤永文化・国際交流課長 区は、昨年1月に旧中野刑務所正門の現地保存方針を決定したところでございます。その後、昨年5月から10月にかけて実施した旧中野刑務所正門学術調査において、門の曳家については技術的に可能であることが分かりました。このことにより、当初の区の方針決定に係る前提の一部に変更が生じたため、区は現在、門の取扱いについて再検討を行っているところでございます。
 昨年12月に区は、教育委員会に対して、旧中野刑務所正門に係る文化財的価値並びに保存及び公開について意見を聴取しました。区の意見聴取を受け、教育委員会は本年1月、文化財保護審議会に対して諮問を行ったところでございます。
〇小林委員 中野区文化財保護審議会でこれから審議していくということかと思いますけれども、その状況についてお伺いいたします。
〇藤永文化・国際交流課長 本年3月10日に文化財保護審議会が開催する予定でありまして、この会において教育委員会からの諮問を報告し、旧中野刑務所正門の文化財的価値並びに保存及び公開についての審議が始まるところでございます。
〇小林委員 これから審議されるということですけれども。現在の表門、今ある、そのままになっている表門は、中野区の指定文化財に値するのでしょうか。国の重要文化財や東京都の指定文化財に値するのでしょうか、伺います。
〇藤永文化・国際交流課長 文化財指定に値するかどうかについてでございますが、繰り返しになりますが、旧中野刑務所正門の文化財的価値については、まさに本年3月10日よりのこの文化財保護審議会において審議される予定でございます。
 国の重要文化財や東京都の指定文化財に値するものなのかどうかについては、まず区の指定文化財になっていることが前提であり、その上で国や東京都の審議会で審議され、判断されるものでございます。
〇小林委員 それからもう一つ、門の曳家について、要するに移動していく、引っ張っていくって単純には言えないんですけども、曳家について、技術的に可能であることの報告が、令和元年11月の区民委員会でありました。具体的に検討はいつから、どのように始まったのでしょうか。
〇藤永文化・国際交流課長 具体的な曳家検討の始まりについてでございますが、議会において曳家を含めた多角的な検討をすべきではないかという御議論がございました。これを受け、本年度、実際に現地に立ち入った上で、専門業者の調査を実施するなどの具体的な検討については、この旧中野刑務所正門学術調査において実施したところでございます。
〇小林委員 その曳家になった場合、門の文化財的価値はどのようになるとお考えでしょうか。
〇藤永文化・国際交流課長 建物の保存については、文化財保存の原則である真正性の視点から現地で保存されることが望ましいものでございます。建物を保存するということは、その建物が建てられた経緯や、土地の履歴といった歴史も継承し残すということであり、現地保存を原則とする考え方が前提であるためでございます。このため、曳家を行った場合は、真正性の視点から、現地保存により一定程度文化財的価値は低下することになると考えてございます。
〇小林委員 そうすると、曳家の場合に、曳家をするための財源は、特定財源はあるのでしょうか。ない場合は一般財源だけになるのでしょうか。あわせて、活用できる基金はあるのでしょうか、伺います。
〇藤永文化・国際交流課長 曳家の財源についてでございますが、曳家を行う経費につきましては、特定財源や活用できる基金は見当たりません。全て一般財源であると見込んでいるところでございます。
〇小林委員 曳家にすることによって文化財的価値も下がり、一般財源で区民の税金をかけて行うならば、技術的、工法的に、もっと早く安くできる方法も早急に検討すべきだと思います。
 曳家といっても、ただ単にはできない。あれだけの重量物を移動していくということは、それなりの補強をしなければならないし、地盤面もそれなりの、高速道路以上のような荷重のかかる地盤面をつくって引いていかなければならない、数億かかるとも言われています。果たして、それがいいのかどうか。あわせて、ほかの方法もあるんではないかというふうにも考えます。
 平和の森小学校の施設整備計画は、これまでどのような経過だったのでしょうか、お伺いします。
〇塚本子ども教育施設課長 平和の森小学校の校舎につきましては、平成17年に策定いたしました中野区立小・中学校再編計画におきまして、野方小学校、沼袋小学校が統合する平成23年4月までに、野方小学校校舎を改築し、現在の平和の森小学校の敷地に新校舎を整備する、そういった計画でございました。
 その後、平和の森小学校に隣接いたします法務省矯正研修所、こちらが平成25年度までに移転をする、そういった計画を受けまして、平成20年度に新校舎の整備方針を変更し、法務省矯正研修所跡地に平成28年度の供用開始をめどとして新校舎を整備する、そういった変更を行いました。
 その後、法務省矯正研修所の移転計画が伸びまして、最終的には平成29年度に移転が完了したことを受け、平成30年度から用地購入の手続、そして新校舎整備の基本構想・基本計画の検討に着手をしたものでございます。
 新校舎整備予定地内に存する旧中野刑務所正門は、現地保存する、そういった方針の下、新校舎整備基本構想・基本計画案を作成したところでございますが、現在、門の保存方針につきましての再検討作業が続いていることから、新校舎整備の設計作業等につきましては、一時的に中断をし、門の取扱い方針が定まった上で進めていくこととしてございます。
〇小林委員 平和の森小学校移転、供用開始に向けて、今、遅れていますけれども、今後どのように進めていく予定でしょうか、伺います。
〇塚本子ども教育施設課長 旧中野刑務所正門の取扱方針が定まり次第、その方針に基づいて、速やかに新校舎の基本構想・基本計画の策定に向けた作業を進めてまいります。その後、基本設計、そして実施設計を策定した上で、新校舎の着工といったところで見込んでいるところでございます。
〇小林委員 まだまだ先になるということですよね。これだけ遅れるのであれば、私は現地建て替えの案についても考えてよかったんではないかというふうに思います。
 平和の森小学校の移転、供用開始には、これからもかなりの時間がかかる。今後区の財政も厳しくなっていく。そうした中で、児童を通わす保護者からは、再編時から見ると、児童数も大きく増え、増築にも税金が使われ、一体いつになったら校舎ができるの、不信が募りますといったお声も聞いています。
 現在の平和の森小学校敷地には、この間、事情変更により、敷地の今後について白紙状態かと思います。施設マネジメントの観点から、現在の平和の小学校敷地はどのように考えているのでしょうか、伺います。 
〇杉本企画課長 1月に総務委員会に御報告いたしました今後の区有施設の整備の考え方についてにおきまして、区立学校の跡地活用の方策についてお示ししたところでございます。
 平和の森小学校を含む学校の跡地活用につきましても、この方策に基づきまして、学校建て替え用地、大規模施設の整備誘導、公共施設の移転、集約化、複合化、防災まちづくり、公園などのほか、貸与や売却も含め、検討していく考えでございます。
〇小林委員 学校もかなり遅れ、敷地についてはこれからマネジメントの中で考えていく。そして、学校はまだまだ、いつ建つか分からないという中で、いずれにしても、旧中野刑務所の表門の問題については、少なくとも考えていかなければならない大きな課題だというふうに思います。早急に判断をして、平和の森小学校の建て替えはどんどん遅れていかないように、地に足のついた、真っ当な検討を急ぐことを、早期に供用開始のできるだけ最大限の工夫を強く求めて、次の質問に移ります。

3.中野駅新北口駅前エリア再整備について
 3番目に、中野駅新北口駅前エリア再整備について、初めに中野駅新北口駅前エリア再整備についてお伺いいたします。
 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画については、この1月に策定され、2月7日から民間事業者の募集が始まったと聞いています。酒井区長が就任された平成30年6月以降、中野サンプラザの在り方やアリーナの見直し、民設民営や定期借地権など、様々な議論が行われてきましたが、基本的な方向性は変わらなかったようですが、私は結構委縮したな、小ぢんまりしてしまったなという印象を持っています。
 中野駅周辺のまちづくりについては、歩みを止めることなく進めることが大事だと思っていますので、そういったスタンスから質問をさせていただきます。
 2月6日に行われた区長の記者会見では、新年度予算の概要とともに、民間事業者の募集について取り上げられていました。その記者会見資料を見ますと、募集の概要とFAQ、よくある質問と回答があり、今回の募集に関してだけでなく、事業全般の内容も入れられています。
 「中野サンプラザはどうなるのですか。区民が使える施設はあるのですか」などの質問に対し、区長はできるだけ分かりやすく答えるようになさっているのは分かりますけれども、その中で私は、「中野区役所や中野サンプラザの土地はどうなるのですか」という問いと、「定期借地権方式はできないのですか」、この二つの問いに目が止まりました。
 初めに、「土地はどうなるのですか」という問いにどのようにお答えしたのでしょうか、伺います。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 ただいま御紹介いただきました、よくある質問の回答そのままを読ませていただきます。
 第一種市街地再開発事業は、権利者が所有する土地や建物の権利を等価で新しい土地や建物の権利に置き換える権利変換方式を基本とし、権利を残さない場合は転出補償金として等価で金銭に換えることができます。新区役所整備の財源を生み出すため、中野区役所、中野サンプラザの権利を一部転出して金銭を得ることを考えています。土地や建物の権利は、中野区役所分はできる限り残すものとし、中野サンプラザの転出分で必要とする金額を得るものとしたいと考えています。今後、必要とする金額や地価の動向などを見極めていきます。事業後も土地や建物の権利を残すことで、資産を適切に活用するとともに、将来の建物の更新の際にも権利者として関わっていきます。
〇小林委員 今お答えをしていただきましたけれども、中野区役所分については、土地そのものでなく、土地や建物の権利をできる限り残したいということで間違いないでしょうか。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 権利変換方式は、土地は建物の権利を等価で置き換えるものでありまして、土地は共有、建物の床は区分所有が原則となります。
 なお、エリア全体の街区再編を行うため、地権者それぞれの土地も現在の位置そのままではなくなるものでございます。
〇小林委員 原則とのことですので。区分所有となる床についてはどのようにお考えでしょうか。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野駅新北口駅前エリアの再整備事業計画、これは権利変換により保有する資産につきましては、今後の計画、調整の過程で、公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断するものとし、土地のみの所有も視野に入れて検討するとしているものでございます。
〇小林委員 区長の一般質問の答弁の中で、事業者に土地のみに権利変換する場合の考え方を提示することを求めているとしていましたけれども、この提案をどう扱うつもりなんでしょうか、伺います。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 民間業者の募集に当たりまして、再整備事業計画に基づく提案書に加え、土地のみに権利変換する場合の考え方を提示してもらうことにしております。これは審査の対象外としているものでございますが、今後、資産の活用の在り方を検討していく上での参考にしたいと考えております。
〇小林委員 参考にしていくということですけれども、先ほどの件なんですけども、民間事業者の提案に上がってくることを想定しているのでしょうか。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 権利床の活用は地権者の意向次第でございまして、具体的な提案が上がってくるということは考えにくいと考えています。それぞれの地権者が、自らの資産活用を検討していくことが必要になります。
〇小林委員 民間が公共公益的な機能を提案することも考えられますし、区が床を活用することになると、ランニングコストの負担も気になるところであります。床の活用については慎重に検討することを要望しておきます。
 次に、定期借地権の回答を教えてください。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 同様に、回答そのままを読ませていただきます。
 定期借地権とは、借地借家法に定められた期限付の借地権のことで、近年、定期借地権を活用した開発事例が見られます。土地を保有しながら、地代を一括前払いでも受け取れることがメリットと言われています。しかしながら、定期借地権の設定のみで事業を進めることは、①開発条件によって地代金額が変動すること。②複数いる地権者の合意形成に時間を要すること。③任意の事業となるため、都市計画事業に位置付けられないこと。④国や都の交付金が見込めず、事業収支が厳しくなることなどにより、結果的にまちづくりや都市計画の在り方、関連事業を含む全体のスケジュールなどを見直すことになり、区が総合的に進めている中野駅周辺まちづくりの実現が困難になると考えられるためです。
 その点、第一種市街地再開発事業ですと、①従前の資産に応じた金額を確保できる。②各地権者の意向が反映され、全員の合意に基づく計画となる。③都市計画手続を経ることで、公的に認められた事業となる。④第一種市街地再開発事業に係る国や都の交付金を見込め、事業が安定することから、まちづくりを着実に推進することができると考えています。
〇小林委員 定借について、私の認識では、建物の用途に応じた収益によって地代が決まってくるものであって、用途もボリュームも決まっていない段階では、地代の金額も出しようもないと思うのですが、いかがでしょうか。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 同様の認識でございます。
〇小林委員 私は、地代を資産活用にと、高額に設定することは、その地代が賃貸料にも大きく跳ね返ってくることになり、必ずしも中野のまちづくりによい影響を及ぼすとは限らず、むしろ事業の継続性によくない影響を及ぼすと考えます。
 都市計画に位置付けられないということですけれども、これはどういうことを意味しているのでしょうか、伺います。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 都市計画を定めるということは、都市施設や市街地の開発を公的に位置付けるものとなります。規制や事業に対する法的な拘束力を持つものとなります。そのため、都市計画案に係る公聴会や縦覧、都市計画審議会の諮問・答申などの手続を経て決定するものとされておりますけれども、位置付けないとすると、それらの手続は不要となり、任意の開発計画で進めることになります。
〇小林委員 つまり、定借の設定のみで行う任意の事業だと、民間の利益が優先され、公共公益性は二の次になると考えてよいのでしょうか。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 区として、まちづくりの指導はしていきますけれども、公的な強制力は弱くなると考えております。
〇小林委員 土地は有効に活用されなければ意味をなさず、どのような土地利用をもって都市の健全な発展と秩序ある整備を図るか、まさに都市計画が重要であると考えます。現在、民間事業者は、提案に向け、知恵を絞っていることだろうと思いますけれども、単に建物を建てるのではなく、中野駅周辺のまちづくり、もっと言えば東京の都市づくりの一端を担っていることを認識して、提案に臨んでほしいものと思っています。
 策定した再整備事業計画を否定するつもりはありませんけれども、国際協力の強化の視点、グローバル都市にふさわしい拠点づくりの視点、多様な機能によってスパイラルアップしていく視点、これまで私が主張してきたことが、ことごとく委縮しています。
 今、勢いある池袋や新宿、渋谷に飲み込まれてしまい、それこそ、どこにでもある再開発になってしまわないかと懸念を抱いています。国や都からも信頼されるまちづくりを目指していってほしいと願っています。提案する民間事業者に再整備計画以上のアイデアに満ちあふれた、よりよいまちづくりの提案を求めます。
 そうした観点からすると、事業協力者も、そのほかの業者もスタートラインは同じであって、再整備事業計画を上回る、よりよい提案でないと選ばれないということでよろしいでしょうか。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 事業協力者には、再整備事業計画策定に当たって提案をしてもらいましたけれども、これにより基礎的な条件が整ったところでございます。実際の事業レベルの提案はこれからとなりますので、よりよい提案となることを期待したいと考えております。
〇小林委員 今回の民間事業者の提案では、どのような事項の提案を求めているのでしょうか、伺います。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 提案項目は、開発コンセプト、施設計画、管理運営計画、推進計画といった基本的な事項に加え、重点提案項目として、中野のシンボルとなる新たな文化・芸術等発信拠点の形成、公共公益性の向上につながる空間構成、環境性向上、防災性強化、エリアマネジメントの4点を設定しているところでございます。
〇小林委員 民間事業者募集要項を見てみますと、重点提案項目の評価点は、全体で200点、200点のうちの100点としていますけれども、今回の審査員はどのような専門の方々で構成されているんでしょうか。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 今回の審査員ですが、6名の方に委員をお願いしております。そのうち4名の方が学識経験者でございまして、それぞれ都市計画、公共空間やエリアマネジメント、ホール建築、防災を専門としている方々でございます。
 また、そのほかお二人、再開発の知見を有する会計士と不動産鑑定士の方でお願いしているところでございます。
〇小林委員 様々な知見を有する方々が審査員ということですけれども、実際に事業を構築していく上で、どのような企業と安定的な運営をするためのコンソーシアムを組むかが重要だと思います。そういったところも評価されるのでしょうか、伺います。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 提案の審査は匿名で行いますので、具体の企業名は分からないようになっておりますけれども、事業を着実に進めるために、どのような体制を組み、どのような進捗管理をしていくかといった、プロジェクトマネジメントについても評価をすることになります。
〇小林委員 長期にわたるプロジェクトであり、今回はエリアマネジメントも重要であると考えています。拠点施設の整備をしたからおしまいではなく、しっかりと腰を据えてまちづくりに取り組んでいく事業者が選ばれることを願っています。
 エリアマネジメントについては、一般質問でも取り上げられておりましたが、この中野駅周辺全体で一体性のあるまちづくりが大事であり、中野駅新北口駅前エリアでは、エリアマネジメントを誘導することになっております。それも提案のうちとなっていますが、そのほかの地区、中野二丁目、三丁目、四丁目はどのようになっているのでしょうか。
 中野四季の都市(まち)がオープンした頃には、エリアマネジメントの話がありましたけれども、結局、形になりませんでした。それぞれのデベロッパー任せだとなかなかうまく進まないのがエリアマネジメントだと考えます。大手デベロッパーがまちを丸ごと取り組んでくる例もありますけれども、中野の場合、そうはならないわけで、誰かしらが音頭を取っていく必要があります。その誰かは区が担うべきではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野駅周辺の各地区整備の道筋が見えてきたところでございます。まちのこれからの目標を共有し、価値の維持向上を図っていくためのプラットホームが必要であると考えております。今後、そうした推進体制の構築を検討してまいりたいと考えております。
〇小林委員 しっかりと構築をしていただいて、まちづくりは様々な利害を生むのが常です。中立かつ公正な立場で、区が主体的に取り組むことを願い、次の質問に移ります。
 関連して、まちづくり計画の中で、公共交通についてお伺いいたします。
 中野区は、これまで整合性のなかった交通施策を改め、基本指針策定のために、バスや自動車、自転車など、全ての交通について、都心区と広域連携の実証実験を東京都の補助金を活用して行う事業を計画しています。その中で、中野駅周辺での自転車駐車場の考え方についてお伺いします。
 初めに、中野二丁目、三丁目、四丁目など、中野駅周辺の区としての自転車駐車場の計画台数と、現在の設置台数についてお伺いします。
〇安田交通政策課長 中野駅周辺の自転車駐車場の計画台数は、中野四季の森地下約1,500台、区役所・サンプラザ地区約1,500台、囲町地区約1,500台、中野二丁目500台、中野三丁目約1,000台の合計約6,000台となっております。
 現在の自転車駐車場台数は、中野四丁目では、四季の森公園地下約1,500台、けやき通り約1,500台、中野西約1,500台と、南口側には、中野南約700台の5,300台となってございます。現在のところ、自転車駐車場の台数は充足している状況にございます。
〇小林委員 計画よりも700台ぐらい少ないということですかね。
 中野駅周辺に来る自転車の目的は、何によっているとお考えでしょうか。
〇安田交通政策課長 区が昨年度実施しました区民移動実態把握に関するアンケート調査結果では、区民の主要な日常の移動実態は、多くは通勤通学でございまして、次いで、昼間の時間帯は買い物が多く、習い事、レジャー、通院等が目的であると把握してございます。
〇小林委員 区は、令和2年度、シェアサイクル事業の導入を予算化していますが、シェアサイクルは、民間事業者が区内でも既にかなりの台数を取り組んでいます。他区では行政が関わって事業化するところも出てきています。民間は、区の事業とどのように異なっているのでしょうか、伺います。
〇安田交通政策課長 来年度、区が導入を予定しているシェアサイクルは、区内の南北交通の課題対応や公共交通の補完を目的として、都心10区が参加する広域連携事業に参加する予定でございます。
 既存事業者よりポートの設置台数や自治体間のネットワーク性において、区民の移動の利便性を考えた場合、広域連携事業が優れていると判断した結果、導入するものでございます。
〇小林委員 そうすると、シェアサイクル事業は、今、一種流行のようになってきていますけれども、事業の採算性、有効性などについて、先行事例をどのように調査、分析されたのでしょうか。
〇安田交通政策課長 区は、都心区の広域連携事業に参加する予定であり、既に実施している新宿区に対してヒアリングや調査を実施してございます。この結果、利用者としての区民の立場からは、利便性が高い広域連携事業と判断してございます。
 事業の採算性、有効性に関しましては、都心区が実施しているポートの設置台数や利用可能台数において、圧倒的に広域連携事業が優れていると判断してございます。
 例えば2018年度の利用者数は約64万人で、回数では800万回以上の利用がされており、安定した運営が確保できると考えてございます。
〇小林委員 シェアサイクルでの目的施設が駅に偏っていますし、朝と夕方ではそれぞれ方向が一方で違いますね。朝は駅に向かって、帰りは駅から離れていく。その一方に偏っていますけれども、自転車通行の双方の流れがないところ、双方の行き来がないところでは難しいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
〇安田交通政策課長 区が予定するシェアサイクルの導入は、南北間交通の課題の対応や、公共交通を補完することを目的としてございます。このため、ポートの設置は、交通結節点となる主な駅周辺を予定してございます。例えば中野駅から沼袋駅間など、交通機関相互のスムーズな移動に利用することなどを想定してございます。
 利用開始と返却はポート設置場所でしか行えないため、例えば住宅地内の自宅から中野駅への通勤通学を主に利用することはほとんど想定していないと考えてございます。
〇小林委員 自宅と駅の間を行き来するということは考えていないということですけれども、シェアサイクルは公共交通を補完すると言いますけれども、駅前にポートを設置することは、通学や通勤がメインになり、公共交通を補完することにはならないのではないでしょうか、伺います。
〇安田交通政策課長 繰り返しになりますが、ポートの設置は、南北交通の交通結節点周辺や都心区との広域連携を踏まえ、設置を予定しているものでございます。したがって、通勤通学の各自宅から利用を想定してございません。シェアサイクルは区内から都心区等への移動や、区内公共交通機関等の駅間のスムーズな移動を目的とし、ITCを活用した新たな移動手段として活用を考えてございます。
〇小林委員 新たな交通手段ということで、通勤通学に使うのではなくて、新たな交通手段ということで、まちの回遊性を高めていくのかということだと思いますけれども、シェアサイクルの実証実験をまた行うに当たっては、利便性のみならず、それに伴う課題や利用可能性も十分精査し、課題となっている、南北の交通もありますけれども、東西交通など、区の交通政策全体の中でよくよく効果を見極めてほしいと要望し、次の質問に移ります。

4.高齢者の健康づくり、見守り体制について
 4番目の高齢者の健康づくり、見守り体制についてお伺いいたします。
 中野区では、急速な少子高齢化の社会の進展などの状況を鑑み、単身高齢者等要援護者の早期発見や地域の支えあい活動の推進のため、全国に先駆けて、地域支えあい活動の推進に関する条例を定め、区民が安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指してきました。条例の制定から8年が経過し、今日までに名簿の提供を受けた町会数は107町会のうち87町会あり、見守り・支えあい活動に活用されています。
 初めに、名簿を基にした活動は地域差があると思いますが、地域での支えあい活動を区はどのように検証、評価、分析されているのでしょうか、お伺いいたします。
〇伊藤地域活動推進課長 今、御質疑で御紹介いただきましたように、107町会のうち87町会に提供ということで、一定の成果は出ているというふうに考えているところでございます。
 昨年、全107町会に対する見守り・支えあい活動に関する聞き取り調査を行っております。詳細な統計分析は現在やっているところでございますけれども、名簿の活用方法といたしましては、町会の行事のときですとか、巡回パトロールなどで、要支援者に対して訪問をしたり、声をかけたり、面談の時間を取ったり等の活動に活用しているという調査結果が一番多かったです。その次に多いのが、異変の発見ですとか、通報の必要があるというふうな事例のときに活用したというものでございました。
 要支援者と面談を重ねるうちに心が通じて、感謝の言葉が聞けてやりがいがあるという声がある一方で、役員の高齢化に伴って、名簿を活用した巡回等が難しくなってきたという切実な声も聞かれております。区としては、無理のない形で、緩やかな見守り・支えあいが継続していくことも望ましいというふうに考えてございますが、名簿の活用の具体的な手法については、今後、町会の皆様とも意見交換などを行いながら、見守り・支えあい活動をいまもう一歩進めていく方向で検討してまいりたいというふうに考えております。
〇小林委員 ありがとうございます。たしか昨年の暮れに、町会活動についてということで、各町会に様々な視点からアンケートをされたというふうに思っています。見守り活動は、地域の特性もありますが、地域で支えあう活動を継続していくことが重要だと思います。
 区は、令和元年度、北部の区内2か所の高齢者会館で、高齢者の入館の際に提示する紙ベースの利用者証のカード化や、利用者実態を把握するため、高齢者会館入退館管理システムの実証実験を行っています。この実証実験の内容と効果など、検証結果を教えてください。
〇小山北部すこやか福祉センター所長 今年度行いました実証実験でございますけれども、バーコードのついているカードを高齢者会館利用者へ配布し、入退館の際に読み取り機を使用し記録をする方法により実施をいたしました。
 高齢者会館利用証のカード化のために、高齢者にとって機器の操作性の確認をいたしました。あわせて、利用者の性別、年齢層、居住地区、利用傾向等のデータの収集と分析、入退館時の記録を希望する利用家族へメール配信をするなどを行いました。
 結果といたしましては、利用者の居住範囲ですとか、高齢者会館ごとの利用年代の差異、個人の利用参加傾向、それからメール配信についての家族の御要望を把握することができました。
 実証実験に参加された方の利用者アンケートからは、携帯をするならば、カードがよいですとか、キーホルダーがよいですとか、あと、機器は操作しやすいもの、慣れれば便利であるというような御意見をいただいております。今後の事業に生かしてまいりたいと考えております。
〇小林委員 令和2年度は、高齢者会館などで見守り体制等の調査研究費を計上しています。この事業の目的と具体的な内容をお伺いします。
〇小山北部すこやか福祉センター所長 今年度の実証実験を踏まえまして、高齢者の健康づくり等事業及び見守り体制の調査研究ということで実施する予定でございます。
 調査の研究目的につきましては、区民の健康寿命の延伸を大きな目標といたしまして、実現に向け、中野区の高齢者の健康づくりや介護予防等に関する総合的な施策を構築するために実施するものでございます。
 内容につきましては、ICTを活用し、集い、通いの場の利用状況をはじめとする高齢者の日常的な生活の実態に係るデータを収集し、区で保有する高齢者の健康状態や介護状態を合わせて、関連性を分析する手法について調査研究を行う予定でございます。
 さらに、調査研究で使用するICTを高齢者が携帯しやすいものにし、モデル地区による見守り活動を試行的に行いたいと考えております。
〇小林委員 今年2か所で行うということですけれども、高齢者の見守りについては、大田区で始まり、今多くの区、市で行政と専門職、民間、地域が手をつなぎ、まちなかでサロンの開催やキーホルダーを活用した活動を行っています。特に、見守りキーホルダーを活用した見守りは、65歳以上の高齢者が緊急連絡先や医療情報等を区に登録し、登録番号が入ったキーホルダーを常に身につけておくことで、外出先の突然の異変により、救急搬送されたり、保護されたりした場合に、医療機関や警察からの照会に対し、24時間体制で迅速に情報提供を行う仕組みです。見守りキーホルダーを活用の最大のポイントは、65歳以上の全員が対象で、地域包括支援センターで、年に1度、誕生月に更新を対面で行い、そのときに変化を読み取って、関わる方々と情報を共有する仕組みです。
 私たちの町会では、8年前に名簿閲覧者として、見守る側でいた方の中に、見守られる側になりつつある方もいます。今日、必要とされる次の世代による新たな見守り体制づくりと、新たな支えあい仕組みづくり、近隣で集い合える拠点の整備も、喫緊の課題になってきています。
 条例をつくって終わりではなく、町会・自治会での見守り・支えあい活動、健康で介護予防に資するさらなる体制支援を期待し、私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。

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